保健師/保健師の就職事情

保健師の就職に関するエピソード(2)

私が取材してきた若手保健師たちの就職活動に関するエピソードをご紹介します。これから保健師を目指す方たちの参考になればうれしいです。

西内 義雄

執筆者:西内 義雄

保健師ガイド

独自の就職活動

学校に来る求人やネットで情報収集する就職活動は基本中の基本です。どうしても保健師になりたいのなら、人と違った活動をしてみるのもいいでしょう。

看護師として働きながら保健師を目指していたFさんの場合、とにかくまず保健師として働いてみたいと、夜勤明けの日を利用して、周辺の役所や保健所を片っ端らから訪ねこう聞きました。
「保健師募集していませんか?」
まさに押しかけ売り込み。現代では珍しい手法です。きっと各所の担当者も驚いたはず。しかし、こういう行動はやってみるもので、ある保健所に行ったところ、熱意を感じたのでしょう。
「そういえば、○○市で産休代理の嘱託を募集していたよ、紹介してあげようか?」
と話が進み採用。その後も懸命に仕事を覚える姿勢が評価され、1年後にその自治体で正職員の求人が出て受験。合格すると嘱託期間にお世話になった先輩たちに大歓迎され、正職員初年度からすっかり課に溶け込み仕事を始めることができました。

故郷を大切にする思い

何が何でも故郷で頑張りたいとの思いを口にする方が多いのも保健師ならではだと思います。

漁師町で頑張るHさん

漁師町で頑張るHさん

Hさんは小さな町の出身で、通っていた小学校は1学年5人だけ。子どもが少ない漁師町でしたが、いつかこの学校を子どもでいっぱいにしたいと思い、地元で保健師になりました。そして、
「保健師になりたいと考えて将来を想像したときから、地元で働くことばかり考えていました。確かに田舎なんだけど、小さい頃から家のおじいちゃんやおばあちゃんだけでなく、近所の人たちからもいっぱい可愛がられて、人とのつながりがとても良かったからです。自分の家族だけじゃなく、他の家にも大好きだったおばあちゃんたちがいて、そういう人たちが幸せに暮らせるようにしたいと思ったのです」
との思いを素直に語ってくれたのが印象的でした。


沖縄の離島出身のRさんも故郷を思う気持ちが強かったひとりです。Rさんは本土の大学に通いながら保健師資格を取得した方ですが、学生生活のなかで沖縄がすでに長寿日本一がでないことを知り愕然としたといいます。そういえば、故郷の島もお酒をよく呑む。これが重大な健康問題に繋がっているかも……。そこで調べることにしました。

そこでRさんが取った行動は、資料に頼らず、地元の関係各所に電話を入れて直接確かめることでした。まず保健所に「島の健康実態はどのようになっているのですか」と聞き、「肝臓疾患が多い」との答をもらいました。さらに警察にも電話して「未成年の飲酒補導」を問い合わせると、県下ナンバー1との返事。あぁ、やっぱり。うちの島はお酒の回し呑みの習慣があって子どものころから宴席が身近だったからなぁ……。

改めて故郷の島の習慣を思い出し、これからは島の人々の健康を守ろうと誓い、故郷の保健師になったのでありました。

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