企業年金編:
加入選択がある場合は必ず加入を!
退職金や企業年金についてはどうでしょうか。増やそうと思って増やせるものではない、と誰もが思っていますが、実はそうでもありません。たくさんもらえる人とそうでない人はいますし、最近では本人の選択で違いが出ることもあるのです。こちらもひとつ言えることは「勤続期間が長い人」「定年もしくは会社都合で辞めた人」「平均賃金が高かった人」のほうが退職金や企業年金が高くなる、ということです。会社に貢献度の高い人はポイントの上積みなどにより退職金額も上がるわけです。
また、注目したいのは「会社都合」でリストラなどで退職者を募集する場合、かなりの上乗せになることがあります。もちろん、無職期間が長いとその分相殺されますから単純にはトクとはいえませんが、転職を考えていた場合には意識しておきたいところです。
最近では、企業年金制度について「加入する」か「加入しない」かを選ばせるところもあります。このとき「手取りの給与が増えるから」と企業年金加入をしないのは実はトクではありません。確実に将来の企業年金額がダウンするからです。また、現金で受け取る場合、税金を引かれるので実際にもらえるのは80~85%程度になるはずです。現金でもらうことは目の前の損得でも、将来の資産形成の見地で考えてもおすすめできません。もし、加入選択制があった場合は「加入する」に○をつけるほうがいいでしょう。
企業年金について増額を目指すとき、個人の取り組みがダイレクトに反映される仕組みがひとつあります。それは日本版401k(確定拠出年金)です。401kの場合、定期預金や投資信託などが15本前後リストアップされており、自分で購入商品を選び、購入割合を決定します。リスクを取って高い利回りを期待できる商品を購入する決断をした人が、現在のような上昇相場に乗ることができれば、モデル退職金以上にもらえることもあります。運用の勉強をしておくと401kに限らずお金の管理すべてに役立ちます。ぜひ勉強してみてください。
自助努力編:
確実に老後の財産を増やす制度はたくさんある!
最後に自助努力で活用してみたい制度です。老後の備えを自力で行う制度を考える場合、個人年金保険に限る必要はありません。加入すぐの解約は大きな元本割れになるほか、「受取額110%」といったうたい文句も年利で換算すれば低利回りであったりします(例えば30年後の受取額117%というとすごそうだが、実際には年利1.0%に過ぎない)。安易に年金保険に頼る発想ではなく、必要とメリットをきちんと整理して選ぶべきです。なお、年金保険として考えた場合、現役時代の死亡保障のお世話になる確率はかなり低いこともつけくわえておきます。そのうえで、「払ったものがきちんと自分のものとして返ってくる」タイプの制度をいくつか紹介したいと思います。
1.財形年金 : 会社が財形制度を実施しており、55歳前であれば財形年金を利用できます。元本550万円までの範囲で利息が非課税になります。最近でこそ低金利であるため魅力が低下していますが、給与から直接天引きされ確実に積み立てられますので、検討してみるといいでしょう(参考:国税庁HP)。
2.確定拠出年金のマッチング拠出 : 会社が企業型の401kを実施している会社の約15~20%では、毎月の税制優遇がある積立枠の使い残し分を勤労者に非課税積立枠として解放していることがあります。マッチング拠出と呼ばれる制度です。マッチング拠出は「積み立てた掛金が非課税」「運用益も非課税」「受取時も税制優遇」というトリプルメリットがあります。原則として60歳まで解約できませんので、老後資金準備枠として活用してみてください。
3.個人型確定拠出年金 : 会社が企業年金を実施していない会社員については、個人型の401kに加入することで前項のマッチング拠出同様のメリットを活用できます。会社員のおよそ2000~2200万人が対象です。また自営業者も利用できます。こちらも原則60歳まで解約不可、という条件に注意しつつ「目の前の資金ニーズでも取り崩せない老後資金枠」と考えて活用してみてください。
4.日本版ISAも要チェック : 現行の証券税制優遇が2013年末で終了することになり、2014年1月から新しい証券税制優遇制度がスタートします。日本版ISAと呼ばれるもので、毎年100万円までの投資についてその運用益が非課税となる制度です(投資をした年から数えて5年目の年末まで)。秋から口座開設案内がスタートしますので、チェックしておきましょう。
実は年金を増やすための商品はたくさんあります。年金保険商品を活用するのは、上記4制度を利用してからでも遅くありません。情報収集をしてみてください。
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