歯が摩耗する原因とは?

すり鉢

すり鉢と擦り減るイメージは似ている

歯の表面のエナメル質は、人体で最も硬い組織といわれていますが、ほとんど休みなく毎日ぶつかり合って使用するため、適切に使用していても60歳ぐらいまでに1mm程度は擦り減っていくようです。個人差はありますが、年齢が高くなれば誰でも摩耗している確率が高まるのです。

それ以外にも急速に歯を削ってしまっている原因があります。それは就寝中の歯ぎしりです。歯ぎしりには、横に擦り合わせるだけでなく、食いしばったり、カチカチ音を鳴らすような歯ぎしりも含まれます。無意識下で連続的に繰り返されるため、長期間続くと確実に摩耗します。過度な歯ぎしりでは20代後半でも60代の摩耗状態になってしまうこともあります。


摩耗によって起こるトラブル

■知覚過敏について
一般的な使用状況であれば、1年使用しても摩耗する量はごくわずかです。このため数十年かけてゆっくりと摩耗していきます。歯の白い部分のエナメル質は外部の刺激を全く伝えないため、基本的にはエナメル質が擦り減らない限り噛む面には知覚過敏が起こることはありません。

このようにゆっくりと擦り減る場合には、たとえエナメル質が無くなって象牙質が露出してしまったとしても、徐々に擦り減る刺激に対して歯の内部で防御反応が起こり、内部の象牙質を硬化させたり、神経の入っている空間を減少させることで、象牙質の厚みを増して刺激を遮断するような変化が起こってくることが普通です。通常の摩耗ではそれほどひどくならないことが一般的です。

しかし過度な歯ぎしりがある場合は要注意。短期間でエナメル質を使い切ってしまった場合には、内部の防御機能が間に合わなくなり、象牙質が露出してくると、知覚過敏を起こすことが多くなります。

■咬合性外傷(こうごうせいがいしょう)
歯の噛み合わせで重要なのは、バランスの良い位置でしっかり噛み締めることができること、あごを自由に動かして食べても歯に負担がかからないようにすることなどです。

歯の形があごの動きとマッチしていないと、歯を固定している力よりあごを動かす筋肉の力の方が強いため、歯に負担がかかることになります。こうなると食事で噛むと特定の歯が痛くなったり、歯がグラグラになったり、ひどい場合には痛くて噛み合わせることもできないことがあります。

これが「噛み合わせの不調和」です。噛み合わせ調整では歯を削ってかかる力をコントロールします。


摩耗した歯をさらに削るワケとは?

一般的な摩耗では、噛み合わせ面全体が均一に摩耗するわけではありません。つまり普段噛み合わせでぶつかっているごく一部のみ選択的に摩耗が起こり、その他の部分が摩耗せずに残っていくのです。

この差が大きくなったとき、あごを動かして歯ぎしりのような動きをすると摩耗せずに残った部分が邪魔になり、歯の周囲の骨や歯肉などにダメージを与えてしまう「外傷性咬合」という状態になってしまうことがあります。

そこで摩耗した部分だけを詰めものなどで元に戻そうとすれば、一つの歯だけ噛むとぶつかってしまうため、同じように摩耗した口の中にある全ての歯に対して詰めなければなりません。

これはあまり現実的でないために歯の一部を削って調整することになりますが、噛み合わせの調整で歯を削る場合の多くは、実は摩耗してする減った部分をさらに削っていくのではなく、「摩耗せずに残った部分」を削っていきます。つまり歯の形を摩耗した部分に合わせて人工的に摩耗させて合わせるです。

つまり噛み合わせ面をバランスよく摩耗させることで、歯やあごにかかる負担を減らしてさらに歯の寿命を延ばすことができるのです。
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