(Q)ベッド型とイス型とどちらが良いのでしょうか?
(A)・・・ベッドタイプは、その姿勢から、快適なのは間違いないのですが、「命を守る」という部分に特化して考えると、後ろ向き乗車のイス型より、少しリスクがあるように感じます。最も衝撃が激しく、死亡事故も多い正面衝突時に、弱い赤ちゃんの体を支えるのが「側面部」だけになるからです。
後ろ向き着座だと「背もたれ」全体で受け止められます。ただし普段の姿勢はラクではありませんね、特に新生児にとっては。頭が大きく、首の弱い赤ちゃんを傾斜のあるところにすがらせて姿勢を維持するためには、適切な角度の設定と体に合ったインナークッションで体や頭部を支えてあげなければなりません。
事故時の「安全性」というのは、必ずしも「生理的安全性」や「快適」と一致しません。カーシートは、弱く無防備な赤ちゃんを、事故の瞬間を常に想定して身構えて完全に拘束しなければならないのですから、ラクなわけはないのです。「安全」と「快適」は、言いかえれば「束縛」と「解放」の関係でもあり、両立は難しいということをユーザーも理解していないといけないでしょう。
メーカーが「安全」をどう解釈するかで商品の内容が変わってきます。何が良いかを選ぶためには、「安全」と「快適」をどのようなバランスであなたが要求するかで変わってきます。私の場合、新生児期からお出かけを余儀なくされる方で、「快適性能」を優先される方にはベッド型を。使用頻度が少なく、乳児期の快適度はあまり問題にならない方や、世界標準の安心感を求める方には、イス型をお勧めしています。
ちなみに、赤ちゃんによっては、いつまでも寝た姿勢ですごすのを喜ばない赤ちゃんもいます。本能的に体を起こしたいという気持ちがあるもので、新生児でも縦抱きだっこが落ち着く子が少なくないのです。そのため、子供がむずかる場合には、イス型に変更したくなることがあります。アップリカの最新のベッド型チャイルドシートは、ベッド型とイス型を兼用できるものが増えましたので、そのあたりの融通もきくようになりました。
回転式で、ベッド型にもイス型にもなるならそれが一番、とも言えますが、実際にはイス型チャイルドシートとしてはずいぶんシートが狭かったり、座面が高かったり、リクライニングもない、といったデメリットもありますので、新生児期からお出かけが頻繁という方以外は、イス型もあわせて検討ください。
(Q)チャイルドシートの取り付けを専門の方にしてほしいのですが、お願いできるところはあるのでしょうか?
(A)・・・チャイルドシートの取り付けは確かに「簡単」とは言い切れない部分がありますが、取り付けを委託できる機関やお店は基本的にありませんので、頑張ってトライしてみてください。大手メーカーのものなら取り付け解説ビデオもありますから、まずそれを見て、よくわからないところは説明書で確認すると良いです。
チャイルドシートの取り付けは「運転者」である親に、取り付けや管理の義務が生じますので、親自身が、わが子のためにきちんと把握しておくことが大前提です。
私のお店などでは、手本をお見せする感覚で、取付をして差し上げていますが、一般の販売店では基本的に請け負っていないでしょう。
チャイルドシートの着用義務化は、あくまで使用する親が責任を持って商品にあたりましょうという、指導的法律でもありますから、販売店が取り付けてあげればいいというものではありません。逆手にとって「取り付けはしない」と取り付け作業を拒否する販売店が多いのもどうかと思いますが、取り付け状態を普段確認できるのは当事者のみですから、運転者が学び練習して取り付けをマスターすべきであることは確かでしょう。
チャイルドシートの取り付けを適切に指導できる指導員が極めて少ないのは残念なことです。少しずつですが、チャイルドシート指導員も全国に増えていっていますから、改善はされていくでしょう。