深い心情を、からりとどこまでも乾いて歌う

「途(みち)にたおれて誰かの名を 呼びつづけたことがありますか」

そんな衝撃的なフレーズではじまる中島みゆきさんの「わかれうた」がリリースされたのは、1978年。当時わたしは2歳ですから、倒れ伏して呼びつづけるのはせいぜい「お母さん」でしょうか。

まぁもちろん、この曲を知ったというよりも歌詞の意味するところに気づいたのは、そんないとけないころではありません。歌詞で歌われるように、「ひとごとに言うほどたそがれは やさしい人好しじゃ」ないことも、「恋の終りはいつも」「たちさるものだけが美しい」ことも知ったころです。

彼女の歌はいつも、深いですよね。その深い心情を、からりとどこまでも乾いて歌う、そこにも凄みを感じます。

現在過去の曲をみかえしても、別れの歌は抒情的なものが多く、また別れとは本来、そういうものだとも思わないではないですが……。相手に先に泣かれると、冷めてしまうわたしが悪いのか、浸りすぎる歌には酔えませんし、思い出を喚起されもしません。

むなしく情けない状況であっても、呟くように歌う。泣きもしないで。「大人」のわかれには、それこそがふさわしい。そう思わせてくれる歌です。



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