ランドローバー/ランドローバー

SUVの王者、新型レンジローバーの世界(3ページ目)

40年にわたり愛されてきたレンジローバーが、4代目にスイッチした。ボディサイズを拡大しながら、オールアルミニウム製モノコックボディにより大幅な軽量化を果たしている。ファンの多い憧れのニューレンジの魅力を探った。

塚田 勝弘

執筆者:塚田 勝弘

車ガイド


替えの存在

レンジローバーフロントシート

シートサイズや厚みも申し分なく、ヘッドクリアランスも不足はない。大きくて厚みのあるヘッドレストは凄みすら感じる


さて、超ド級の加速性能を感じさせないジェントルな味付けは、もちろん乗り心地も同様で、前後のエアサスペンションの乗り味はあくまでふんわりと路面からの衝撃を吸収する。さらにスーパーチャージド仕様には、連続可変ダンパーを備えるアダプティブダイナミクスサスペンションが標準装着され、走行状態と路面状況に応じてダンパーを仕事させている。

また、新採用のダイナミック・レスポンスにより前後サスペンションをそれぞれ独立して制御することでロールを抑えているだけあって、確かに巨体とは思えない身のこなしとボディ姿勢の安定性を誇る。

乗り心地の面で少し気になったのが80km/hを超える領域になると感じられるごくわずかな振動で、オールアルミボディにありがちなネガなのかは不明だが、まぁ目くじらを立てるほどではない。


どんな路面でもオートにしておけばOK

レンジローバーリヤシート

大柄な方が2人座っても、足元、頭上、横方向にはゆったりとした空間が広がる。身長180cm超の人が4人でも快適に移動できる


装備はあまりの満載ぶりのため、とても書ききれないが、路面状態に応じて走行モードや足まわりの設定を変えられる「テレイン・レスポンス」は「テレイン・レスポンス2オート」に進化している。従来どおり、草地・砂利・雪・泥・轍・砂地・岩場など絵に合わせてダイヤル操作ができるのに加えて、「オート」が加わったことで、車両が絶えず走行状態をモニタリングし、最適な走行モードを提供してくれる。

前述したように、オンロードでレンジローバーよりも速く走れるSUVもあるし、クイックなハンドリングで魅せてくれるモデルもめずらしくはない。しかし、レンジローバーの良さはまずはオフロードでの圧倒的な走破性がスタート地点であり、そこに快適な乗り心地やシートだけでなく、運転のしやすさ、いざとなれば正確なハンドリングを披露するなど、単なる高級車ではない類い希なボディコントロールのしやすさも備えているのだ。

例えるなら高級な絹ごし豆腐を堪能しているようで、柔らかでいながら歯ごたえがあり、しかも味わいは濃厚。ほかにはない存在で、まさに替えのきかない世界観は、オールアルミボディなどの新技術を採用しても薄まっていないどころか深くなっているから恐れ入る。デザインの好みは人それぞれだが、新型にもレンジローバーに期待するすべてが詰まっているのは間違いない。
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