自動車取得税撤廃の落とし穴
消費税が10%に上がった際に、自動車取得税が5%廃止されれば、「5%なくなって5%増える」のだから結局変わらないと思えるが、じつは違う。自動車取得税は自動車購入時の総額ではなく、取得価額に含まれるものと、含まれないものがあるのだ。
含まれるものはオーディオやエアコンなどで、スペアタイヤやシートカバー、マットなどは含まれない。新車の場合は、新車価格からおおよその割引額を引いた金額で約90%になる。つまり、車両本体価格(消費税抜き)の約90%が取得価額なので、5%の自動車取得税でも実際には消費税抜きの車両価格の4.5%なのだ。自動車取得税が撤廃されると、いままで課税されてこなかった約10%にも消費税がかかってしまう。
こう考えると、消費税増税前に購入した方がトクということになる。しかも、自動車取得税だけでなく、自工会が要望していた重量税廃止も先送りされたから、クルマに関する税金が減るとしても取得税のみで、しかもお得感はゼロどころかマイナスになる可能性が高い。
また、来年春に8%に上がる際に、どれくらいの規模のエコカー減税の拡充があるか見えていない。そのため、エコカー減税対象車をいま購入しておくのも手だろう。とくに、現在のハイブリッドやプラグインハイブリッド車、クリーンディーゼル搭載車やEVなどの全額免除、つまり「免税」対象車なら大幅な値崩れはしにくいはずだし、リセールバリューも期待できるだろう。逆に言えば、免税対象車のようなエコカーなら8%アップ時でも厚い減税措置があるはずだから慌てなくていいかもしれない。
買い替えの予定があるなら消費税増税前に購入を
ほかにもガソリンの税制がどうなるかは分からないが、ガソリンの消費税は販売会社が負担しているので建前上は上がらない。しかし、ガソリンの消費税が上がれば、転嫁されてガソリン代も上がるかもしれない。しかも今年10月からは地球温暖化対策税(環境税)も25銭/1L課せられているのだ。
原油価格にもよるが、ガソリン価格が大きく下がることを期待するのもアテのない話だ。ただでさえガソリン高のいまだからこそ、少しでも燃費のいいクルマに買い替える手もあるだろう。
まとめると自動車取得税5%が撤廃されても、先述したように消費税10%になると、税金が結局アップしてしまうため、もしクルマの買い替えを数年以内に考えているなら消費税前に買う、または現在のエコカー減税が切れる2015年春までに買う手がいいとは思う。ただし、急いでいないならエコカー減税拡充の内容が決まってからでもいいかも。