アフリカ/セネガル

奴隷貿易の港「ゴレ島」を巡る (セネガル・ダカール)(2ページ目)

かつてヨーロッパ人の行った奴隷貿易。奴隷となったアフリカ人が故郷の大陸に最後の足跡を残した場所が、今でも残っています。人類の負の歴史を今に伝える奴隷貿易の拠点、世界遺産「ゴレ島(Ile de Goree)」を紹介します。

中原 健一郎

執筆者:中原 健一郎

海外旅行ガイド

奴隷とは何なのか

我々東洋人はこのような奴隷の話になると、どうしても「白人対黒人」という構図の中に押し込めて第三者的視点で見てしまいがちです。「白人が黒人にひどいことをした」というのも紛れもない歴史的一事実ですが、その観点からだけでこのゴレ島を納得して帰ってしまっては認識不足のような気もします。人種的優劣認識が根底にあったことも間違いないでしょうが、それだけでもまだ不十分です。

のどかなゴレ島の景色と、遠く霞むダカールの町

のどかなゴレ島の景色と、遠く霞むダカールの町

なぜなら奴隷というものは有史以来世界中のどこにでも見られた現象であり、戦争奴隷、債務奴隷のような因果関係のはっきりしているものから人さらい的なものまで、人種も含めて多種多様な奴隷が存在してきたからです。かの高橋是清も留学先のアメリカで騙され、奴隷として売り飛ばされています。

もっと言えば、リンカーンにとどまらず1948年に国連人権宣言が採択されてからも、現在に至るまで人身売買などで事実上の奴隷的苦役に従事させられている人は世界中にいます。

ゴレ島は今では人々の生活の島でもある

ゴレ島は今では人々の生活の島でもある

ただ、近代以降のこのアフリカを中心とする奴隷貿易は、その組織的規模、人数、また奴隷船に代表されるような暴虐性などが、人間の通常の良心に照らして際立っていたということは一般に言われる通りで、この島が大きくクローズアップされる理由の一つなのだと思います。

 
このゴレ島を見た人間が確実に学べることは、そんな境遇に生まれなかった我が身の幸せです。それから、どんなに制度が整っても人間性の本質の中にこのような不道理を受容する素地があるのを忘れずにおくこと、かもしれません。

ゴレ島行きフェリー乗り場

ゴレ島行きフェリー乗り場

ゴレ島までは独立広場から北に歩いて10分ほどのゴレ島行きフェリー乗り場から一時間に一本、6:30から22:30まで運行しています。片道約20分の船旅です。

 
セネガルの旅行については、準備も含めていくつか注意点があります
くわしくはこちらをご覧ください。

それでは。
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※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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