「時代」と「作品」の関係性
北川宏人《水野ジュン Jun Mizuno》2011 テラコッタ、アクリル 163x40x26cm
「渋谷109の前にいそうな女の子だな」
そうです、現代、たったいまの時代の作品です。
作者の北川宏人さんは1967年生まれの彫刻家で、テラコッタという粘土をつかって、たったいまの人をとらえる美術作品をつくっています。ものうげな表情は、この不透明な時代を見つめているようですね。しかも北川さんの作品は、美術館やギャラリーで「見る」ことができるだけではありません。
10年前と違い、いまの美術(いわゆる現代美術)では、「売れる」ことも評価のひとつ。2000年代から日本でもはじまった、「アートフェア」という美術作品の見本市のような場所で、「売れる(人気の高い)」ものなのです。
北川さんのように時代をくみ取った作品は、今にはじまったことではありません。
「時代」と「作品」は、関係が深いのです。
皆さんは「美術史」という言葉をご存知でしょうか。文字通り「美術の歴史」の意味で、時代に沿うように、様式が変動し、いろいろな影響を受け、特色ある美術作品が生まれる流れを指しています。「美術史」を知ることで、作品を見るとき、ちょっとだけ美術を奥深く楽しむことができます。
美術史を知ると作品が楽しめる!?
東京国立博物館 本館 外観
東京国立博物館は、日本を中心に東洋諸国の文化財を約11万3千件もの作品を収集・保存し、研究しています。本館(日本ギャラリー)では、縄文時代から昭和時代まで、さまざまな時代やジャンルにつくられた、日本の美術作品を見ることができます。
まずは縄文・弥生・古墳時代の作品が並ぶ1室へ。
歴史の授業でも習ったような、縄目を文様につかった縄文土器、祈りをかたどったような土偶、大陸から渡って来た金属をつかった銅鐸(どうたく)や銅鏡などが並びます。