前期選抜の入試状況について
今年度の前期選抜には、2万1680人の募集人数に対して、約4万7500人が受験しました。出願時の平均競争率は、2.19倍(昨年度は1.61倍)でした。昨年までは、後期選抜のみだった普通科の募集枠を一部(2クラス分80名)移行したために受験者は、約2倍になりました。
普通科(81校)のみの平均競争率は、3.74倍と狭き門でした。6倍台の高校が6校(春日丘高校6.34倍、山田高校6.03倍、寝屋川高校6.31倍、清水谷高校6.00倍、布施高校6.16倍、富田林高校6.05倍)あり、3倍以上の高校が57校もありました。
普通科の人気の一方で、専門学科は、1.53倍(昨年度は、1.65倍)、総合学科は、1.41倍(昨年度は、1.52倍)とやや広き門になりました。普通科の受験者は、後期選抜も視野にして受験した場合も多く、大阪府の私立高校授業料の無償化の施策も後ろ盾になり、強気のチャレンジ型の受験者が多かったようです。
前期選抜は、国語・数学・英語の3教科受験になり、普通科や多くの専門学科では、小論文を実施しました。全志願者中、小論文を受験した割合は、95%になりました。(昨年度は、37%)出題にあたって、府教委は、「基礎的なものから発展的なものまで幅広く問題を作った」と公表しました。教科全体の難易度は、昨年度程度でしたが、3年目の最難関の文理学科の入試は、下記の通りでした。
文理学科全体の平均競争率は、2.89倍(昨年度は、2.90倍)と高い倍率のまま推移しています。バランスのとれた学力を持つことが合否のポイントになります。【文理学科の入試問題の講評】
国語
問題構成は昨年と同様、難易度はやや易化。出題された文章は受験生にとって、読み取りやすいものであり、記述問題を含めても本文に根拠の濃い設問が多くあった。一方、今年度は記述問題5問中3問が「五十字程度」、残り2問も「四十五字以内」「二十五字程度」と続いた。多くの文字数を要する出題に戸惑った受験生がいたことも予想される。
小論文
文理学科入試3年目を迎え、出題の形式は定番となりつつある。しかし、今年度は課題文の始まりに注釈がついており、設問中にも、筆者の考えがまとめられている形式での出題となった。また、昨年までの条件提示であった、「学問の研究を進めていく際に」から「学問の探究について」へ変更された点では、受験生には身近に感じ取りやすかったのではないか。
数学
関数が大問として出題され、大問が昨年の3問から4問に増え、出題傾向はほぼ例年通り。大問2(関数)の「格子点を数える問題」、大問3(平面図形)の「直角三角形の相似の発見」、大問4(空間図形)の「空間内の相似」や「多面体の求積」など、これまでにも頻出のテーマが多い。過去問題の分析に基づく対策の質と量により、得点に差がつく問題といえる。昨年よりは取り組みやすい問題が多かった。
英語
大問1の「対話文読解」は内容、設問ともに昨年並みの難易度である。大問2の「長文読解」は近年の傾向通りのグラフの出題に加え、英文を読み取り、表を完成させる問題が出題された。文章の内容としては、今年も大阪に関する内容からの出題となった。「自由英作文」は設問が二つに分割され、グラフの事実を述べる問題と主観的な意見を求める問題となった。「和文英訳」では複数の文法が融合されており、発展的な記述力・運用力が求められる。
後期選抜の入試状況について
後期選抜は、合計124校で実施され、3万607人が受験し、全日制普通科(107校)の平均競争率は、1.25倍(昨年度は1.16倍)となり、現行の入試制度となった2003年度以降で最高でした。1.5倍を超える高倍率だったのは、進学指導特色校を中心に9校(春日丘高校1.93倍、高津高校1.82倍、北野高校1.68倍、豊中高校1.67倍、大手前高校1.66倍、生野高校1.62倍、茨木高校1.61倍、四條畷高校1.58倍、天王寺高校1.50倍)ありました。
ただし、見方を変えれば、この「見かけ倍率」にあまり驚くこともないようです。
例えば、後期で最も倍率が高かった「春日丘高校の普通科」で考えてみます。
・前期選抜 募集人数80人 志願者数507人 競争率6.34倍
・後期選抜 募集人数240人 志願者数463人 競争率1.93倍
◆前期の志願者507人を春日丘高校第一希望者と仮定します。
80人が合格しましたので、残りは、427人になります。
◆この427人全員が、後期選抜にも出願したと仮定しますと、
36名(463人-427人)足りません。この36人は、例えば、前期は茨木高校や
北野高校に出願していたのを変更したのかもしれません。
◆さて、前期の507人にこの36人を加えると543人になります。
総募集人数の320人に対しての競争率は、1.69倍になります。
昨年度は、後期選抜のみ320人の募集人数に対して555人が出願し、
競争率は、1.73倍でした。
さあ、どうでしょう。
進学特色校の天王寺高校
学力検査は、5教科で実施され、府教委によりますと、難易度や問題数は例年並みでした。身近な土地や話題を題材にして、グラフ、地図、表などの素材から情報抽出やまとめる活用力などが試されました。
次年度からは、大阪府では学区が撤廃されますが、入試方法や内申点の絶対評価導入の有無等についても今年度と変更があるかもしれませんので、今後の府教委の発表が待たれます。