愛嬌溢れるキャラクターで人気を集めた 若乃花
第66代横綱にして、第65代横綱貴乃花のお兄さんです。横綱になったのですから優勝を一度はしているはずですが、失礼ながらこの方が強かった記憶がまったくありません。ただ、そのつぶらな瞳と、いつもふんにゃり笑っているようなその丸い顔が、昨今はやりの「ゆるキャラ」のようで、貴乃花と二分する人気を現役当時は誇っていたのは、しっかり覚えています。
弟とおなじく相撲界のサラブレットとして入門した時も、周囲の身勝手な期待もほわ~ん、ほわわ~んとやりすごし、「お兄ちゃん」の愛称で親しまれているうちに、いつの間にやら横綱までのぼりつめ、いつのまにやら引退し、いつの間にやらタレント、実業家、スポーツキャスター、はてはアメフトの選手へと転身したおひとです。
もちろん、相撲の取り組みでは鬼ともなり、きびしい鍛錬をつんでいたことでしょうが、求道者のような弟の貴乃花とは正反対に、その笑顔ひとつで誰からも愛される。いま思い出しても、そんな印象しか浮かんできません。
横綱はもちろん至高の存在であり、強くてナンボと思います。思いますけれども、こんな「愛されキャラ」がひとりくらいはいてもいいんじゃない? そう思わせる、本当に不思議な魅力をもった横綱でした。