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ベッドサイズの選び方……ベッドルームのプランはまずベッド選びから
ベッドサイズの選び方とは
キッチンやリビングに比べ、ベッドルームのプランはおざなりにされるケースが多いのが現実です。休日以外では、在室時間が一番長い部屋なのに何故でしょうか? 快適なベッドルームを作るためには、それなりの準備が必要です。
まず実践していただきたいのは、プランの前にベッド選びを進めることです。ベッドのサイズをどうするかを決めておかないと、後で不自由することになります。例えばクィーンサイズを使いたかったのに、結局はダブルしか入らなかったなど、せっかくの新居で残念です。
平均的なベッドのサイズ
ベッドのサイズ一覧(寸法はあくまで参考です)。2人揃って寝るならば、できればクイーンサイズが欲しい。クイーンやキングサイズなら、子供を真ん中にして川の字に寝ることも可能。ただし、マットレスが分割されたタイプでは無理。また男女の体格差を考えると、一枚式のマットレスの方が、ベッドのスペースを有効に活かせる |
・シングル 95~105
・セミダブル 105~130
・ダブル 130~150
・クィーン 150~180
・キング 180~210
ベッドの長さは190~205センチほどです。その他に長さを延長したロングタイプ(220センチ前後)があります。
以上のように、シングルやクィーンといった表記だけでは、マットレスの幅は分かりません。製品によっては、ベッドを置く板の最大幅を表記している場合もあります(マットレスの幅ではない)。ですからカタログだけではなく、実際の製品で確認する必要があります。
プランニングの際も、ダブルやクィーンといった事だけで進めてしまうと、実際に選んだ製品とは、10~20センチもの誤差が出てしまうことがあります。まずはベッド選びからスタートすることをお薦めします。
クィーンのベッドはドアから入りません
さらに面倒なことに、通常の家ではクィーンサイズ以上のベッドは、廊下や階段から搬入できません。クレーンで吊って、2階の窓から搬入することが多いのです。そのためには、クィーンサイズのマットレスが入る寸法の窓を作る必要があります。そこで、クィーンやキングサイズの場合、マットレスを2つに分割したタイプを薦められることもあります。しかし子供と3人で川の字に寝ることは出来ません。こうした希望がある場合、一枚のマットレスを搬入する方法をあらかじめ考えておく必要があります。
このように、ベッドの選択によってプランニングは大きく変ります。ベッドだけでなく、クローゼットや書斎コーナー、採光の取り方、近隣との関係も含めると、ベッドルームのプランニングは、意外と奥が深いのです。
ベッドルームのプランニングをのぞいてみると
8畳+3畳のウォークインクローゼットがある例。クィーンサイズのベッドを置いてみた。ベッドの脇は90センチの余裕があり合格。問題はヘッドボードの上にある窓。窓の位置を100センチ以上の所に付けないと、ヘッドボードが窓に被さってしまう可能性がある。冬場は冷気が降りてくるので、出来るだけヘッドボートの位置に窓は付けたくない。 |
■ クローゼットとベッドの間隔 一般的な折戸式のクローゼットは、ベッドから最低90センチは離れている必要があります。これ以下だと、扉を開いて衣服を取出すのが不自由です。もしその間隔が取れない場合は、大型引戸(扉が前に出てこない)を選択する方法もあります。
■ ドアとベッドの間隔 意外と多いのが、ドアがベッドに当ってしまう失敗です。内開き(寝室側に開く)の場合は、全開してもベッドに当らないスペースを確保することが大切です。これが意外と難しく、ドアのためにベッドの置場を限定されてしまうこともあります。
もしスペースが取れないようなら、引き戸を選択するのもいいでしょう。寝室は衣服やシーツなど、かさばる物の出入りが頻繁なので、ドアよりも便利なことがあります。しかもスペースもとりません。引き戸を選ぶときは、閉める際に大きな音を立てないよう、静音ストッパーをつけるとよいでしょう。
窓は隣家のことを考えて配置する
8畳の部屋にクローゼットがある例。同じくクィーンサイズのベッドを置いてみた。ベッドとクローゼットの間隔が75センチしか取れないのが辛い。クローゼットの扉を大型の引き戸式にすれば、だいぶ使いやすくなるだろう。 |
■ 窓との関係 ベッドルームの窓で気をつけることは、隣家の窓との関係です。隣家の窓と向い合わせになってしまうと、どうしても視線が気になります。またヘッドボードの上に窓が来てしまうと、冬の冷気が降りてきます。寝室の窓はベランダに出るための掃出し窓以外は、小さくして、高い位置に設計した方が無難です。採光を大きく取りたいときは、 ハイサイドライト(参考記事「コートハウス」は都会のオアシス?)を使うこともできます。ただし電動ブライン無いドなどで遮光することが必要です。
縦長で小型の窓を採用すれば、採光を充分に採りながらプライバシーを守ることができます。最近は小さな縦長窓を、いくつか連続して取り付ける例が増えているようです。
■ カーテンは大きめに ベッドルームのカーテンには、遮光タイプを使うケースが多くなっています。その時注意したいのは、カーテンの大きさです。窓の幅とぴったりにしてしまうと、左右から光りが漏れてきます。窓の幅よりも15センチ以上は余分に欲しいところです。
これはブラインドやロールスクリーンにも共通していえます。窓枠の内側に取り付けるよりも、外側に付けた方が遮光性能は上がります。
冬場の冷気を入れたくない場合は、、腰高の窓でも、床までカーテンを伸ばして付ける方法もあります。カーテンから漏れる冷気の大半は、カーテンの下から流れ込んできます。カーテンを床まで伸ばすと、下から漏れる冷気をだいぶ防げます。欧州では、カーテンが床を引き摺るようなスタイルがあります。これも冷気の進入を防ぐためです。
上と同じく8畳の部屋にクローゼットがある例。こちらはベッドの左右が60センチずつしか取れないので、ベッドまわりが狭く感じられる。またドアとベッドが近いので、出入りがしづらくなる可能性もある。ベッドボードの上の窓も心配である。同じ広さの部屋でも使い勝手が大きく変ってくる |
シングル2台はキングサイズの幅になる
最近は一台のベッドではなく、シングルを2台使いたいという方も増えています。間にナイトテーブルを置いて、ある程度プライバシーを確保するプランです。この場合に必要な幅は最低でも、シングルの幅95センチ×2台+ナイトテーブル(40センチ)=230センチになります。キングサイズよりも広いスペースが必要です。特に就寝時間が別々の場合は、シングル2台というのは賢い選択でしょう。最近のベッドは寝返りをうっても震動が伝わりにくい工夫がされていますが、上掛けは一枚ですから、先に寝ている横に入り込むのは気をつかいます。
小さな書斎を設けたり、薄型テレビを置いたミニシアターを作るなど、寝る場所としてだけでなく、様々な用途に使うケースが増えています。ベッドルームを快適にするためには、思った以上の広さが必要です。リビングとキッチン・ダイニングが一体となり、ワンルーム化していったように、ベッドルームも多機能で大型化していくものと思われます。
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