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まさに豪放そのもの 未完成の千畳閣

千畳閣は、857畳敷きの広さをもつことからつけられた通称で、現在の正式名称は豊国神社本殿。国の重要文化財に指定されています。遠くからも目立つ存在ではありますが、あまりに有名な厳島神社の影にかくれて存在感がかすむせいか、ここを訪れる人は少なく閑散としています。

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豊臣秀吉建立の巨大建築

国の重要文化財、千畳閣(豊国神社本殿)

国の重要文化財、千畳閣(豊国神社本殿)

千畳閣は、857畳敷きの広さをもつことからつけられた通称で、現在の正式名称は豊国神社本殿。国の重要文化財に指定されています。

もともとは豊臣秀吉が戦没者供養のため厳島神社の大経堂(読経所)として建立したものですが、明治の神仏分離令によって、秀吉を祭神とする豊国神社(厳島神社末社)に改められました。

厳島神社本殿に隣接する高台の上に五重塔と並んで建つ巨大な瓦屋根の建物は、遠くからも目立つ存在ではありますが、あまりに有名な厳島神社の影にかくれて存在感がかすむせいか、あるいは、階段を登るのが面倒だからか、ここを訪れる人は少なく閑散としています。

「老人力」の赤瀬川原平氏絶賛

千畳閣は、完成前に秀吉が亡くなり、秀吉に命じられて工事を担当していた安国寺恵瓊も関ヶ原の戦いで敗れた西軍の中心武将として処刑され、その後、誰も工事を継続する者がなかったため、板壁も天井もないまま現在に至っています。
天井がなく、すみずみまで丸見え

天井がなく、すみずみまで丸見え

戸閉まりということが不可能で、建物内は常に風が吹きぬけており、天井がないため、太い梁をぶっちがいに接ぎ合わせてあるところなども丸見えで、まさに豪放そのもの。縁の下も十分人が通れる大きさになっており、長い回廊のようです。
人が通れる縁の下は、まるで回廊のよう

人が通れる縁の下は、まるで回廊のよう

『老人力』などの著書で知られる赤瀬川原平氏と、美術史研究者の山下裕二氏は共著『日本美術観光団』(朝日新聞社)のなかで、千畳閣を次のように評しています。
山下:千畳閣、かなり乱暴。
赤瀬川:いやあ、すごい、すごい。俺、驚いたよ。「いいの?」というくらい。
(中略)
山下:日本一開放的な古建築だね。「乱暴力」をもう超えてるね(笑)。
赤瀬川:うん、「むちゃくちゃ力」(笑)。
出典:『日本美術観光団』 赤瀬川 原平、山下 裕二 著 朝日新聞社刊

バラエティ豊かな絵馬も見所

たくさんの絵馬が掲げられているのも、魅力の一つ。古いものから新しいものまで、いろいろあって面白いです。

わたしは気がつきませんでしたが、前述の『日本美術観光団』によれば、ジョン・レノンの奥さんのオノ・ヨーコの絵馬もあったとか。また、もう一度じっくり見てみたいです。 ■千畳閣(豊国神社本殿)
所在地:広島県廿日市市宮島町1-1
TEL:0829-44-2020 (厳島神社)
昇殿時間:8:30~16:30
料金:100円
アクセス:
宮島桟橋から徒歩10分。
厳島神社拝殿入口の背後にある高台の上。
※データは記事公開時点のものです。

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