ネット生保の先駆け、ライフネット生命保険の成長余地は?
私が出口社長にお会いしたとき、驚きました。「え、この人が社長!?」
インターネットで生命保険を販売するベンチャー企業の社長さんとは思えない、年齢、服装、雰囲気。ところが、話をしてみると、知性の塊。そして、生命保険業界を変えようという熱い志を持つ、まさにカリスマ社長でした。
それでは、ライフネット生命保険を投資対象として、見てみましょう。
企業価値 VS 株価 は、割高か!?
生命保険会社は、企業価値を自ら計算して開示しています。ライフネット生命保険の2012年3月末時点における企業価値は、185億円。1株当たりにすると、440円です。それに対して、2013年3月1日時点の時価総額は、333億円。1株793円です。
……この株価、めちゃくちゃ割高ちゃうの?
将来の成長性は加味しない企業価値
ちょっと待ってください。ライフネット生命保険のホームページでも公表されている企業価値は、エンベディッド・バリュー(EV)と呼ばれるものです。これは、企業が「現在有している資産の価値(修正純資産)」と「保有契約の将来利益現価」のみが反映されており、企業の成長性は加味されていないのです。
それでは、将来、ライフネット生命保険は成長余地があるのでしょうか?
ライフネット生命保険の成長性は?
成長性を見るときのポイントは、「市場規模」と「保険料等収入と事業費のバランス」です。第1に「市場規模」に関して、日本の保険料等収入は、42.7兆円(2012年。ライフネット生命保険ホームページより)です。それに対してライフネット生命保険の保険料等収入37億円(2012年3月期)ですから、市場シェアは僅かに0.0087%です。
でも、そもそも生命保険をネットで買うなんて、受け入れられないんじゃないの?と思ったら、大間違い。
ライフネット生命保険ホームページを見ると、2012年において生命保険加入契約の加入チャネルのうち4.5%が既にインターネットなのです。さらに、今後の意向については10.5%のもの人がインターネットでの購入に前向きなのです。
もし、大手生保がしびれを切らしてネット生命保険に参入すれば、世の中の常識が変わります。生命保険は「対面販売で購入するもの」から、「ネットで購入しても大丈夫」というように社会常識が変わります。そうすれば、ライフネット生命にとっても、大きくビジネスチャンスが広がると考えられます。
第2に、「保険料等収入と事業費のバランス」です。大切なのは、保険料等収入の伸びが、事業費の伸びよりも大きいことです。
ライフネット生命の保険料等収入と事業費の推移を見てみると、両者ともに増加していますが、保険料等収入の増加の方がペースが速いことがわかります。バランスよく成長しているといえます。
成長性を加味しなければ割高です。しかし、莫大な市場規模とゼロに等しい市場シェア、そして現状バランスよく成長を続けていることから、将来10倍100倍の規模になる夢に一緒に参加するかどうか。生命保険業界の常識を打ち破るライフネット生命保険を応援したいと思います!