防災/災害の種類と対策

首都直下型地震で必ず起きる大火災、長期停電に備える

東日本大震災から二年。東北や関東近県では余震と思われる揺れがいまだに続いています。そんな今、M7を越える首都直下型地震の発生が危惧されています。この人口密度の高い東京近郊で震度6強~7の揺れが起きた場合。どんな事態が待っているのでしょうか。そしてどのような備えが必要なのでしょうか。

和田 隆昌

執筆者:和田 隆昌

防災ガイド

「木造密集地域」は大火災の可能性

大地震によって発生する「地震火災」はある意味で「消せない火災」でもあります。それは必ず「同時多発」する傾向があるからです。ひとつの行政区内で消防車、はしご車の数は数十万を超える住居でも10数台というところが多い。つまり同じ地域で数箇所の火災が発生してしまえば手いっぱいになるということなのです。数百~数千、あるいは数万戸もの家屋が燃える火災が同時に発生する場合、それは「消せない火災」になってしまうのです。

木造家屋が密集する東京の北部、東部、南東部、環状7号線の周辺などは細い道が入り組んでいるために消火活動も難しく、「大火」は次々に燃え広がり、集合して、より大きな火災に拡大する可能性があります。自分の地域がそういった「木造密集地域」に近い場合、どういった対処法があるのでしょうか。


自宅から火を出さない、地域を安全にするには

東京都火災危険区域

東京の火災発生危険区域(赤は100棟~)東京都資料

地震火災から逃れるためには、まず自宅から火を出さないこと。消火器の点検だけでなく小型消火器、または簡易消火器(スプレー型)をキッチンなどすぐに使える場所に配備するようにしましょう。また、火災は延焼するため、自分の家だけ準備していても防げません。地域全体で火災を発生しない場所にする必要があります。普段から地域の防災訓練に参加することや、初期消火を住民同士で行えるような体制作りを地域で話しあっておきましょう。同時多発的に発生する地震火災は「自助」「共助」で防ぐほかはないからです。

木造密集地域となる東京の下町では、このような活動が広く行われていますが、マンションなどの共同住宅などでも他人事と思わずに、自治会などは簡易消火器の配布など失火を防ぐための対策をすべきでしょう。さらに自宅地域が大火となり、避難をせざる得ない場合に備えて、周囲の危険地域を把握しておく必要があります。広域の延焼火災が発生した場合には、指定の避難場所・避難経路が必ずしも安全とは限りません。地域の火災リスク(図参照※東京都HPなどで詳細確認可能)を把握して、いくつかの避難経路を家族で話し合っておきましょう。


長期停電に備えるためには

東日本大震災では、多くの地域で停電が発生し、その後も電力不足による一時的な停電が発生したことは記憶に新しいでしょう。しかし首都直下型地震が発生した場合には、首都圏では、あの時よりもより深刻な「長期大停電」に襲われる可能性があります。首都圏湾岸地域には日本最大級の火力発電所が数多く点在し、首都圏で巨大地震が発生するとこれらの多くが甚大な被害に遭うと懸念されています。その場合には首都圏の都市機能の多くが失われ、日本経済は停滞し、深刻な事態に発展するでしょう。

特に問題なのが首都圏に無数に存在するマンション住民の生活です。電力に生活の多くを依存する住民は、3日も停電すれば、ほとんどの住民が水と食料を求めて階下に下りて避難所生活をせざるを得なくなります。戸建の住宅では補給に出かけるのにさほど不便がなくとも、エレベーターが止まった状態では上層階の生活は成り立ちません。水、トイレ、さまざまな補給において上層階の住民は常にリスクを抱えています。インフラが回復するまで最低一週間は自宅で生活できるように水、食料や生活用品を準備しておきましょう。水を使わない簡易トイレなどの準備もかかせません。非常用のランプや懐中電灯、予備電池などの他にロウソクなども用意しておきましょう。

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