快適な住まいの条件　室内空気質＆温熱環境について(2ページ目)

住宅内の温度環境を一定に保つためには、やはり建物の気密性と断熱性が高いことが求められます。これにより、例えば今のような寒い時期ですと、暖められた空気が建物の外に逃げなくなるからで、気密断熱性は建物の温度差を少なくするための必須の条件となります。加えて、これに間取りも重要な要素となります。閉め切った間取りにしてしまうと、空気が循環しにくくなるからです。

24時間換気システムとは？

ただ、これでは浴室やトイレまでは居室と同じような温度にはなりにくいわけですから、必要に応じてヒーターなどを取り付けるのも良いアイデアだと思われます。最近のバスユニットには暖房システムが採用されているものも多くなってきましたね。

さて、新築住宅には現在、24時間換気システムの導入が義務化されています。種類は第1種（給排気を機械で自動的に行う）、第2種（給気を機械的に行い自然排気する）、第3種（排気を機械的に行い自然給気する）の3種類が存在します。このうち寒冷地を除き、第1種換気が主力となっているようです。

ハウスメーカーの場合、熱交換型の換気システムを採用していることがほとんどで、よりハイレベルな提案として全館空調システムを組み込むスタイルが一般的。熱交換型とは、給気と排気を行う際に室温に与える影響、つまり室温の変化少なくする仕組みのことで、これにより現在のような寒い時期に換気を行っても寒さを感じずにすむわけです。

この24時間換気システムにフィルターを付けることで、花粉や化学物質、病原菌などを取り除く仕組みが最近では多くなっています。ただ、湿度管理機能がない場合、空気が乾燥しすぎてしまうというケースも。私の知る範囲では、住宅を新築してしばらくすると、以前の住宅で使用していたテーブルの天板が乾燥した結果、反り返ってしまったそうです。

ところで、24時間換気システムの義務化はシックハウス症候群の対策として、2003年の7月の建築基準法の改正により実施されました。シックハウス症候群とは、住宅に使用される建材などに含まれるホルムアルデヒドなどの化学物質が、人体に悪影響を及ぼす症状のことをいいます。

また、カビやダニ、花粉などが原因となることも指摘されています。このほか、やっかいなことに家具などの材料に含まれていることも。ですから、一概に住宅が原因だといえないケースもあるとされています。

さらに進化しつつあるシックハウス症候群対策

シックハウス症候群についての住宅における有効な対策として、これまでにあげた換気機能の強化とともに、建材や部材についても規制が強化されています。具体的には、建築基準法でホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンの5つの化学物質が対象となり、含有量について厳しく管理されるようになっています。

そして、現在はこのような化学物質をさらに含まない建材（床材や壁紙など）の開発、その導入も行われるようになりました。これは、アトピー性皮膚炎（これもシックハウス症候群の一つとされています）などに苦しむ子どもや、その家族を対象にしたものですが、大手ハウスメーカーの中にはこれを標準とする動きも出始めています。

その導入のおかげで、症状の軽減が報告されるようになっているとのことですから、その効果は大きいものだと理解しても良さそうです。特に子どもにとっては成長や学習に大きな影響が表れますから、より重大なことだと思われます。

花粉症やアトピー性皮膚炎などの症状は、実はいつ誰に起こってもおかしくはないものだといいます。その予防も含め、是非、皆さんに住宅内の空気の質や温熱環境の話に興味を持って頂きたいと思い、今回はこのテーマを選びました。

空気の質や温度環境を向上させる技術については、将来的に原発事故による放射能対策などにも生かされるようであれば素敵だなと、私が実は密かに期待している分野でもあります。