鉄道/SL

名古屋のど真ん中を走った『SLあおなみ号』(2ページ目)

河村たかし名古屋市長の肝いりで実現した『SLあおなみ号』。業績不振に喘ぐ『あおなみ線』活性化とSLで街興しをとの狙いで企画された。いきなりSL牽引の観光列車を頻繁に走らせるのは、あまりのもハードルが高いことから、「実験走行」をして定期運行が可能かどうかのデータ収集というのが、今回の運転の目的だった。厳重な警備や計画の甲斐あって、滞りなく「実験走行」は終了。今後の動向が気になるところである。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

SLあおなみ号に使われる車両

編成

C56、12系客車3両、DE10と編成のすべてはJR西日本から借りた

また、蒸気機関車、客車3両、ディーゼル機関車は、すべてJR西日本から借り入れた。今回使用されたC56形160号機は、京都の梅小路蒸気機関車館で動態保存されていて、いつもは、『SL北びわこ号』、『SLやまぐち号』(C57形1号機と重連を組んだり、C57の代役として臨時に走行する)牽引機に使われている。かつて、この機関車は、各地のSLイベント運転にも活躍し、1986年の愛知の鉄道100年フェアイベントでも名古屋駅を起点に武豊線などで走った実績がある。

列車編成は、C56+12系客車3両+DE10形ディーゼル機関車で、蒸気機関車の向きを変える転車台(ターンテーブル)が貨物ターミナルにはないので、名古屋駅への帰路は、ディーゼル機関車が先頭で列車を牽引し、C56は最後尾にぶらさがるように連結されていく。

SLあおなみ号、名古屋駅を出発

セントラルタワー

セントラルタワーをバックに名古屋駅に停車中のC56

では、いよいよ『SLあおなみ号』に乗車しよう。16日と17日は、各3往復。実験走行ということで、指定券の発売はなく、抽選が行われた。名古屋周辺ばかりではなく、全国から葉書による応募が殺到、競争率は100倍を越したと発表された。したがって、取材は、本運転時ではなく、事前に行われた試運転の際の報道公開のときのもので、写真には、機関車の先頭にヘッドマークが取り付けられていないのはそのためである。

名古屋駅のホームドア

名古屋駅のホームドア

あおなみ線ホームは、ホームドアが設置されていて、『SLあおなみ号』に使用される12系客車のドア位置とは完全に対応していない。そこで、位置が合う2か所に限って乗車位置とした。車内に乗りこんでから、指定された座席のある車両へ移動することになる。12系客車は、自動ドアに冷暖房完備の近代的な客車で、『SL北びわこ号』『SLみなかみ』、それに秩父鉄道の『パレオエクスプレス』でも使用されているお馴染のものだ。
汽笛一声、名古屋駅

汽笛一声、名古屋駅

名古屋駅ビルとなっているセントラルタワーなどの高層ビル群の谷間に位置するホームから出発。西隣は東海道新幹線が頻繁に発着する。大都会のターミナル駅から汽笛一声、勇壮に出発するのは21世紀にあっては珍しい情景だ。
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