株・株式投資

円安がトヨタの利益に与える影響は1590億?

円安がトヨタ自動車の業績に与える影響は、いくつかの仮定の下、ざっと1590億円と試算されました。うち、1430億円は、日本生産・海外販売車についての増益要因。残りの160億円については、海外生産・海外販売者についての増益要因です。

日根野 健

執筆者:日根野 健

公認会計士ガイド

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円安でトヨタ自動車は儲かるって、本当なんでしょうか?

円安効果でどれだけ儲かるか?

円安効果でどれだけ儲かるか?

2013年2月5日、トヨタ自動車(7203)は業績予想の修正を発表しました。売上高を5000億円増額して21兆8000億円、税引前利益を1100億円増額して1兆2900億円としました。決算説明資料によれば、第2四半期決算時点に比べて為替変動による増益が1400億円にもなるそうです。

ところが資料をよく見ると、この業績予想、1月以降の為替レートをドル84円、ユーロ110円と仮定しています。もし現状の為替レートであるドル94円、ユーロ125円が、第4四半期における平均為替レートとなれば、どれだけの増益要因になるのでしょうか?

円安による増益要因1~日本生産・海外販売車について~ 

円安による増益要因は、大きく2つに分けられます。

A.日本で生産して、海外に販売する場合に、輸出売価が上昇するケース

B.海外において生産・販売する場合に、売価・原価・粗利ともに増加するケース


(本当は外貨建て債権・債務に関して発生する為替差損益もありますが、今回は無視します。)

トヨタ自動車の税前利益の円安インパクト

【図 トヨタ自動車の税前利益の円安インパクト】



まずAについて、考えてみましょう。第4四半期において、ドル圏での販売計画が143万台、ユーロ圏が22万台です。このうち30%が日本国内で生産したものとします。(第1四半期から第3四半期までの生産・販売実績より筆者が試算。)日本国内での生産コストは変わりませんが、輸出単価は円安により上昇します。

会社の想定レートとの差額を試算すると約1430億円の増益要因となります。

円安による増益要因2 ~海外生産・海外販売車について~ 

次はBについて、考えてみましょう。残りの70%は、海外生産・海外販売です。

この場合、円安により、販売単価も製造原価も両方アップします。結果的に差引の利益部分だけ、増益となります。日本生産・海外販売に比べると、増益インパクトは小さくなります。会社の想定レートとの差額を試算すると約160億円の増益要因になります。

円安による増額修正を、まだまだ期待できる!

いくつもの仮定をおいての計算ですが、ざっと1590億円の増益が期待できることがわかりました。確かに円安は、トヨタ自動車の業績によい影響を与えるようです。このところのトヨタ自動車の株価上昇は、このような増額修正を期待してなのでしょうか。私は日本企業の代表選手、トヨタ自動車のますますの発展を期待しています!


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