圧迫骨折とは……頻度の高い骨折の一種
圧迫骨折ではは縦方向に圧迫力が働きます
<目次>
圧迫骨折の原因・年齢・性差・部位
中高年に多い骨折で、特に閉経後の女性、骨粗鬆症に伴う場合が大部分を占めます。しかしながら転落事故など外力が大きい場合、若年者でも発生します。脊椎の頻度が高いです。圧迫骨折の症状……激痛で救急搬送されることも
骨折した部位の腫脹と疼痛です。通常初期から激痛となることが多く、救急車で病院に搬送されることも多いです。骨折による脊髄の圧迫のため、筋力低下、知覚麻痺、直腸膀胱症状(便、尿の失禁など)などが発生することがあります。圧迫骨折の検査法・診断法
■単純X線単純X線写真は放射線被爆量も少なく、費用もわずか。その場で撮影も終了し当日説明をうけられるので、整形外科では必ず施行します。
腰椎単純X線側面像 。第1腰椎に圧迫骨折を認めました
単純X線で診断がつかない場合でもCTであれば診断可能です。
CT腰椎側面像。断層画像であるため、3次元的な構造が診断できます
MRIは磁気を使用して人体の断面写真を作成する医療用機器です。被爆がないのが最大の特徴です。欠点は費用が約1万円程度と高額な点、狭い部屋に15分間ほど閉じ込められて、騒音が強いことです。脳外科の術後で体内に金属が残っている人、心臓ペースメーカー装着の人、閉所恐怖症の人などではMRI検査が無理なため、CTで検査を行います。CTはMRIより費用は5,000円程度と安くなりますが、被爆があります。
MRI画像。腫瘍の内部の構造、周辺の組織との位置関係がより鮮明にわかります
圧迫骨折の治療法……安静治療か手術治療
現時点で圧迫骨折の治療として安静療法、手術療法の2つの治療法があります。この両者を厳密に比較した試験がないので、どちらの治療法が優れているのか判断はできません。■圧迫骨折の安静治療
我慢できる範囲の疼痛などであれば、安静にして経過をみるのも1つの選択です。軟性コルセット、硬性コルセットなどで脊椎の安定性を確保して、時間をかけて骨折した部位の安定化を計ります。
<鎮痛薬>
ボルタレン、ロキソニンなど非ステロイド消炎鎮痛薬(NSAIDと省略されます)を用います。
・ボルタレン…1錠15.3円で1日3回食後に服用。副作用は胃部不快感、浮腫、発疹、ショック、消化管潰瘍、再生不良性貧血、皮膚粘膜眼症候群、急性腎不全、ネフローゼ、重症喘息発作(アスピリン喘息)、間質性肺炎、うっ血性心不全、心筋梗塞、無菌性髄膜炎、肝障害、ライ症候群など重症な脳障害、横紋筋融解症、脳血管障害胃炎。
・ロキソニン…1錠22.3円で1日3回食後に服用。副作用はボルタレンと同様。
どちらの薬でも胃潰瘍を合併することがありますので、胃薬、抗潰瘍薬などと一緒に処方されます。5年間、10年間の長期服用で腎機能低下などの副作用がありますので、注意が必要。まれに血液透析が必要となる場合もあるので、漫然と長期投与を受けることはできる限り避けて下さい。
■圧迫骨折の手術治療
圧迫骨折した骨の内部に骨セメントと呼ばれるアクリル樹脂を注入する治療です。全身麻酔と入院での治療が必要です。手術時間は比較的短いのですが、周辺の骨や支持組織が弱いため強固な固定を得るのが難しい場合があります。合併症も発生することがあります。長い入院が必要な場合があります。
術後腰椎単純X線正面像。骨セメントが第1腰椎の内部に注入されています
術後腰椎CT正面像。骨セメントが認められます
圧迫骨折の後遺症・予後
脊髄を圧迫して神経症状がない場合、安静治療で治癒する可能性が高い病気です。神経症状がある場合手術を考慮しますが、早期に治療しないと症状が後遺症として残る可能性があります。いずれにしても専門的な治療が必要な場合もありますので、早期に整形外科専門医を受診して下さい。【関連記事】