ソニー復活なるか!?
2013年2月7日に発表されたソニーの決算短信(2013年3月期第3四半期)によれば、今年の第3四半期末において、830億円の営業黒字となっています。前年同期は、△658億円の営業赤字でしたから、大幅に業績が改善しています。見事な黒字転換なのですが、さて、これで一安心なのでしょうか???セグメント情報をチェックする!
こんなときに必ずチェックしたいのが、「セグメント情報」です。セグメント情報とは、企業の事業をいくつかの「セグメント」に区分し、それぞれのセグメントごとの売上高や利益を把握するための情報です。経営者が、自ら必要だと考えて作成した資料を、投資家にも開示してくれるのです。それでは復活しているように見えるソニーの、セグメント情報を見てみましょう。金融が稼ぎ頭。携帯電話やPC、液晶テレビなどの
セグメントが厳しい
今のソニーの稼ぎ頭は、実は金融セグメントであることがわかります。売上高6922億円に対して、930億円の黒字です。具体的には、ソニー生命、ソニー損保、ソニー銀行が大きな収益源となっています。
逆に大きな赤字となっているのが、MP&C(モバイル・プロダクツ&コミュニケーション)セグメントとHE&S(ホームエンタテインメント&サウンド)セグメントです。売上高が最大であるにも関わらず大きな赤字となっているMP&Cは、スマホを含む携帯電話やパソコンに関するセグメントです。2012年4月1日から12月31日までの9ヶ月間で、売上は9048億円にもなりますが、725億円の赤字です。全セグメントのなかで最大の売上であり、最大の赤字です。
次に、HE&Sは、液晶テレビや家庭用オーディオ、ブルーレイディスクなどに関するセグメントです。売上8115億円に対して、337億円の赤字です。
金融で稼ぎ、家電の赤字を支えているという構図が浮かび上がってきます。
事業改善? それとも、選択と集中!?
営業利益は確かに黒字転換し、復活を遂げているように見えます。が、従来の稼ぎ頭であったはずの、MP&CセグメントやHE&Sセグメントの黒字化という重大な課題が未解決のまま残っていることがわかります。足元では大幅な円安によって事業環境は好転していると予想されますが、黒字化が確かなものになるまで、安心はできません。対応としては、大きく2つの方法があります。
ひとつは、事業改善です。経費節減等のリストラを進めること、商品力を高め、収益性の高い製品の販売数量を増やすことです。もうひとつは、赤字セグメントの売却です。今のソニーは、事業改善により課題の解決を図っていますが、うまくいくでしょうか。株式投資の判断においては、MP&CセグメントやHE&Sセグメントの黒字化が重要なポイントのひとつと言えるでしょう。世界に通用する日本のブランド「SONY」の復活に期待をしています!