株・株式投資

大幅増益のローソン注意すべきは「特別損失」

ローソンが2013年1月9日に発表した決算短信(2013年2月期 第3四半期)では、「四半期純利益が、前年同期比+38.5%」の大幅増益でした。でもその実態は、当期が特に良かったから大幅増益になったのではなく、前期に比べて「特別損失が少なかった」からこその大幅増益だったのです。

日根野 健

執筆者:日根野 健

公認会計士ガイド

  • Comment Page Icon

「四半期純利益が、前年同期比+38.5%」ってすごい?

純利益大幅増はナゼか?

純利益大幅増はナゼか?

ローソンが2013年1月9日に発表した決算短信(2013年2月期 第3四半期)を見ると、前年同期比で大幅に増益しています。これを見て、ローソン株に飛びついた方も多いのでは?でも、ちょっと待ってください。大幅増益の内容を見てみましょう。


純利益は大幅増益だが、経常利益は小幅増益!?

確かに四半期純利益は、前年同期比+38.5%で大幅増益なのですが、経常利益は前年同期比+6.8%の小幅増益です。

いったいどういうことでしょうか?
ローソンの決算短信(2013年2月期undefined第3四半期)

【図 ローソンの決算短信(2013年2月期 第3四半期)】


企業の利益には、いくつかの利益があります。なぜなら、企業の事業活動をいくつかの段階に分けることで、企業の実態を正しく理解できるからです。

決算短信には、「営業利益」「経常利益」「四半期純利益」が掲載されています。
営業利益とは、本業の利益です。ローソンならば、コンビニで商品を仕入れて売って、そこから本社の人件費などを引いたものです。当期は534億円(前年同期比+7.5%)、前期は497億円です。

次に経常利益とは、営業利益に本業以外の収益と費用を加減算したものです。ローソンならば、銀行預金の受取利息等を加算し、借入金の支払利息等を減算したものです。当期は531億円(前年同期比+6.8%)、前期は497億円です。営業利益とほとんど変動がありませんね。

最後に、四半期純利益とは、経常利益に臨時的な特別利益や特別損失を加減算し、さらに法人税等を引いたものです。ローソンならば、投資有価証券の売却益等を加算し、固定資産を廃棄した損失等を減算し、さらに法人税等を差し引いたものです。当期は285億円(前年同期比+38.5%)、前期は206億円です。

決算書を前年と比較することが大切!

経常利益が小幅増益なのに、四半期純利益が大幅増益になる。この原因は、どうも特別利益や特別損失にありそうです。

特別利益、特別損失を詳しく見ると・・・

【図 特別利益、特別損失を詳しく見ると・・・】



さらに詳しく損益計算書を見てみると、特別損失が、当期38億円、前期161億円。前期は、会計基準変更による損失82億円、東日本大震災による損失34億円など、多額の特別損失がありました。その結果、経常利益は小幅増益なのに、四半期純利益は大幅増益となったのです。実態は、当期が特に良かったから大幅増益になったのではなく、前期に比べて特別損失が少なかったからこその大幅増益だったのです。

四半期純利益が大幅増益だからといって早とちりせず、しっかりと決算の内容を見て、正しく業績を理解すれば、投資判断も間違いません。投資で勝つためには、決算書の数字を前年と比較するということを忘れないでいただきたいと思います。

【編集部からのお知らせ】
・「家計」について、アンケート(2024/12/31まで)を実施中です!

※抽選で30名にAmazonギフト券1000円分プレゼント
※謝礼付きの限定アンケートやモニター企画に参加が可能になります
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます