バティアシュヴィリ × ティーレマン
対峙から突如寄り添う甘美なブラームス『ヴァイオリン協奏曲』
日本盤のみ「ハンガリー舞曲 第2番」のボーナス・トラックあり
オーケストラは約460年という長い歴史を持つドイツのシュターツカペレ・ドレスデンで、指揮はドイツ的演奏で人気の首席指揮者クリスティアン・ティーレマン。
このヴァイオリンとオーケストラの組み合わせがまず面白くて、曲はオーケストラから始まりますが、ティーレマンは独特の強くメリハリのついた緩急・強弱を用い時折骨太なドイツの味わいを聴かせる。そしてアクセルを踏み込むように一気にテンポが上げられ「どうなるどうなるっ?」となだれ込まれたところにいよいよヴァイオリンが登場!
オーケストラの勢いを慣性の法則よろしく受け繰り出されるバティアシュヴィリの潔いかっこよさといったら! 力強い美しさに満ちています。
以降も、ただ潔いだけでなく、時折ポルタメント(なめらかな音程の上下)を効かせ、女性的な優美なつややかさが。男性的なオーケストラの中から現れるようなところでは、女神がすっと立つような清純な美しさが際立ちます。
そしてもう一つこの演奏が魅力的なのは、オーケストラとヴァイオリンが拮抗、または引き立て合うだけではなく、時として寄り添い同じ音質で混ざる瞬間があり、その刹那の甘美さがとても……危険。
録音されたルカ教会に特徴的な豊かな残響ともあいまって、このマリアージュ、はい、かなり癖になりますよ。
カップリングのクララ・シューマンの曲で人気ピアニストのアリス=紗良・オットを迎えているというのも豪華です。
(日本盤のみ「ハンガリー舞曲 第2番」のボーナス・トラックあり)
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