損害保険会社が当然にペット保険を取り扱っている訳ではない
昔から損害保険会社は「動物保険」という保険商品を持っていましたが、それは競走馬を対象とした保険商品等であり、私たちが自宅で飼う犬や猫(以下、「ペット」と言います。)の病気やケガの医療費用等を補償するものではありませんでした。しかし、2006年4月にアリアンツ火災海上保険がペット保険を発売して以来、現在では10社ほどの損害保険会社や少額短期保険会社、共済団体(以下、「損害保険会社等」と言います)がペット保険を提供しています。ただ、日本には損害保険会社だけでも53社(注1)ありますが、ペット保険を取り扱っている損害保険会社は数社程度に留まっています。ペット保険は自動車保険や火災保険とは異なり、私たちの生活で普段聞き慣れた損害保険会社が当然に取り扱っている保険商品ではなく、多くの場合には、ペット保険を専門に取り扱う損害保険会社等が提供しているのです。
ペット保険を取り扱う損害保険会社等
7兆円を超える損害保険市場において、ペット保険の市場占有率はそのほんの一部に過ぎず、ペット保険を取り扱う損害保険会社3社(注2)のペット保険の正味収入保険料(注3)の合計は、未だ138億円程度(0.2%程度)しかありません。しかし、2006年4月の発売以来の損害保険会社の正味収入保険料の増加からも、ペット保険の消費者ニーズの高さをうかがうことができます。また、商品の特性から、損害保険会社だけではなく、幾つもの少額短期保険会社がペット保険の提供を行っています。
ペット保険はその商品の特性から
少額短期保険会社でも十分に取り扱うことができる
そもそも「保険会社」というと資本金が10億円以上で金融庁長官による免許制。つまり、そこへの参入障壁は低くなく、仮に皆さんが消費者のニーズを捉えたユニークな保険商品のアイディアを持っていたとしても、簡単に保険会社を開業することはできませんでした。しかし、2006年4月の保険業法改正によって、「少額短期保険会社」という新しい保険会社の形態が認められ、その参入障壁は大幅に引き下げられています。しかし、少額短期保険会社には保険期間や保険金額など、事業規模の範囲に制約が課せられており、ペット保険(第2分野)に限定して言うならば、保険期間は2年まで、保険金額は1000万円が限度となります。
そして、ペット保険の特性から考えると、一般に保険期間は1年、また、保険金額についても1000万円を超えて補償するといった消費者のニーズは想像し難いことから、少額短期保険会社でも十分に、その保険商品を提供できるということになります。
皆さんがペット保険について加入を検討する場合には、これらの損害保険会社等の補償内容や保険料等を比較して、支払う保険料と貰う保険金の両方を自分自身のお財布の都合と照らして考えながら保険商品を選べばよいと思います。
(注1)2012年7月1日時点
(注2)ペット保険を取り扱う損害保険会社は、アニコム損害保険、アイペット損害保険及びアクサ損害保険(アリアンツ火災海上保険から移管)の3社である。
(注3)正味収入保険料とは、元受正味保険料に受再正味保険料を加え、支払再保険料および収入積立保険料を控除したものをいい、一般事業会社の売上高に相当する指標である。
【関連記事】
・ 人間の公的医療保険に似ているペット保険の補償内容