しかし、そこに落とし穴があります。
1000万円作りたい人が考えがちなこと
現金で数百万作れた人が次に何を考えるかというと、手持ち現金をはたいてワンルームマンションなどに投資しようと考えます。世の中には、投資用マンションでだれでも年8%ていどの運用ができると喧伝する業者がいますから、その気にさせられます。マンション販売業者は30年間のローン返済を前提にして利回りを計算するからです。確かに利回りは良い。実際に、その通りにうまく賃貸経営ができたとしたら、今度は二軒目、三軒目と買わせます。そうしないと、不動産特有の減価償却のメリットが享受できないからです。しかし、ローンも増えていきます。資産も増えるが借金も増える不動産投資
ローンで不動産を買い増していくパターンにはまっていくと、最初に投下した自己資金が8%で回っていることは確認できるものの、投資の出口が作れません。いくらマンションを買い増していっても、そのすべてを処分しないと、本当の投資利益が得られない事態となっていくのです。すべてを処分してローンも完済して、1000万円が残るのには、たぶん10年を超える年月がかかることでしょう。もちろん、そのような超長期なスタンスで持ちつづけることが、投資の目的に叶っている人なら、それで全然かまいません。しかし、早く1000万円という果実を作りたい人にとっては、遠い回り道となってしまいます。
日本不動産にある長期保有リスク
そして、不動産投資の出口が遠くにあればあるほど、処分価格の下ブレ・リスクが大きくなります。数十年後の日本にあるリスク……人口減少リスク、都市のスラム化リスク、大地震リスク、増税リスク(固定資産税や新種の資産課税)などが考えられます。それらを乗り越えていった先には、億単位の資産が作れる可能性があります。しかし、逆にローン地獄に陥っている可能性もあります。早く1000万円を作ろうとする人に奨められる道ではないのです。
上等な不動産投資をするなら1000万円くらい作ってから
もし不動産投資をしたいなら、それこそ自己資金1000万円を作ってから、上等な不動産投資をしましょう。誰でも買える訳ではない優良物件を手に入れるのです。それには潤沢な自己資金が必要でしょう。平凡なワンルームマンションが売り物件として市場にあふれたら、今度は買い手が誰も居なくなってしまったなんてことになりかねないことに気が付く必要があります。投資用不動産は、投資家たちの間だけで流通しているマニアックな資産です。それが回っているマーケットは、国際的な金融マーケットほど巨大ではないのです。ですから、慎重に考えてください。
結論です。1000万円作りたい人は出口の見える投資をしてください。
数億円の不動産王になりたい人は、途中でローン破産する可能性があることを覚悟して、飛び込んでください。お金を借りて投資をすることは、かなり危ないことなのです。