女性のための女性による女性歴史ドラマ『ファン・ジニ(黄真伊)』
『ファン・ジニ(黄真伊)』などはどうでしょうか? 結構BSで何度も再放送していたりするので、観た方も多いと思いますが。『イ・サン』とか重厚なマジメなものに比べたら、「歴史ドラマ」感は薄いので、歴史系はちょっと……という方も入りやすいのではと思います。また、全24話と歴史系ドラマにしては長くないので、そこもいいですね。
【時代背景】
時は16世紀、李氏朝鮮王朝時代。ドラマの内容から察するに、当時の朝鮮王朝は中国の属国扱いを受けていたと思われます。
【主人公】
ファン・ジニという実在の人物で、美貌と知性を兼ね備えた妓生(キーセン)だった人です。妓生とは、ざっくり言っちゃうと「芸妓を兼業とする娼婦」なんですが、まぁ、歴史ドラマの主役になるほどの人物ですから、ただの妓生ではないわけです。ドラマでは、ハ・ジウォンが華麗に演じています。
【見どころ】
もうとにかく人生すべてがドラマチック! いわゆる出生の秘密はもちろん、出家していたのにまさかの妓生への弟子入り。そこで見出される舞の才能とその美貌……。師匠・ペンムとの確執と、ライバル関係であるプヨンとの芸と恋の駆け引きが中心ですが、小さいエピソードも含めて昼ドラ好きもびっくりの荒々しい展開です。
あととにかく衣装が豪華絢爛! 色とりどりのチマチョゴリが美しく、演舞シーンは毎回見ものです。
さらに、若かりし頃のチャン・グンソクが出ているんです。まだ10代か20歳ぐらいと思われます。ファン・ジニの初恋の相手ウノ役です。しかしウノは役人である両班(ヤンバン)の息子なので、当然身分が違いすぎて結ばれるわけもなく、「本当にひどい! 身分のバカヤロウ!」って思える最後です。そのウノとのエピソードは史実にも残っているという「ファン・ジニ」前半の見どころでもあります。
身分身分って、いちいちうるさい偏見に満ち溢れた時代を、華麗に力強くその時代にできうる限りの知性を生かして生き抜いたジニに、女性ならきっと感動すると思います。
荒々しすぎて、現代の我々においてはあまり参考にならないですが、「あー。そんな時代があったんだな……」とつくづく思える、女性のための女性による女性歴史ドラマであります。