「食べる仕草」が上手すぎると評判
見ている方がお腹がすいてくるほどのリアリティです。有名すぎてよく聞く話なのですが、昇太さんのように、上手く話せる方はそうそういらっしゃらないでしょう。■演目「ちりとてちん」
あらすじ:ある日、食べようと思った豆腐が古くなりすぎて黄色くなり、毛が生えているのを発見しました。
これをぐちゃぐちゃにつぶして、唐辛子をまぶし、塩辛の瓶につめて、「あの男」に食べさせようとたくらみます。「あの男」とは、いつも知ったかぶりをして威張った嫌な奴こと、六さんです。
六さんに「これは台湾みやげで『ちりとてちん』というんだが、食通のあんたなら知ってるだろう」と持ちかけたところ、「もちろん知ってるよ。台湾に行ったときは朝晩食べたものだ」とまんまと引っかかりました。
「貰ったんだが、ニオイがきつくて食べられない。六さん、食べてくれ」
「これは臭いを味わうんだよ」といつもの知ったかぶりをするが、くさくて食べられないので、鼻をつまんで一気に流し込みました。
「うまかったあ!」という六さんに、どんな味か尋ねると
「豆腐がくさったような味がする……」というオチがつきます。
■演目「御神酒徳利(おみきとっくり)」
みどころ:野菜を売りにやってきた八百屋が中に入ろうとしたところ、女中に邪険にされてしまいます。
その態度の悪さに腹を立てた八百屋は仕返しをたくらむのです。それは、代々受け継がれてきている御神酒徳利を隠してしまうことでした。
そのことに気づいた旦那は女中を叱りつけます。そこへ八百屋が現れて、そろばん占いで御神酒徳利が水ガメの中にあることを言い当てるのです。八百屋が隠したことを知らない旦那は、その能力に感激し、「弟が無くした預かり物の観音様の場所を探してほしい」と八百屋に頼むのです。
さあ、どうなるのでしょうか。
ハラハラさせられる分、ぐっと引き込まれてしまいますよ。
■演目「オヤジの王国」
みどころ:私は何と言っても「オヤジの王国」という題名が好きです。
演目を聞く前から、「そこに行くオヤジって弱そう……」と思ってしまいます。
ある意味、内容もそうなっている部分があり、妻や娘に邪険に扱われているオヤジが、押し入れの奥にあるオヤジの王国に行く噺なのです。