工事を一度に済ますためにローンを利用するという考え方
足場を設置する時は、できるだけ建物の外回りに関係する工事を同時実施した方が長期的にはお得になることがほとんどです。
Aさんは今までローンを利用せず、自己資金の範囲内でリフォームをすることが一番安上がりになる方法だと思っていました。ローンを利用すれば金利や諸経費などが発生しますから、出来る限り借りたくないという気持ちも理解できます。しかし今回のAさんのケースでは、自己資金内に無理やりおさめようとして必要な工事(あるいはこれから必要になる工事)を将来に先送りしてしまうと、工事の都度必要になる経費(例えば足場工事費用や工事管理経費)が再度発生してしまうことから、金利や諸経費の負担が軽いローンであれば、むしろ利用を前提にリフォームを検討した方がお得になりそうです。
無担保で手続きも簡単なリフォームローンは便利!
こうして当初の予定通りのリフォームを進めることにしたAさん。リフォームローンについても調べてみました。自己資金200万円に対して、工事見積りは約270万円。ですが今後の出費を考慮し、自己資金からは150万円を支出し、120万円を借り入れることにしました。銀行で手続きをするものだと思っていたAさんに対して、業者からは提携しているローン会社の利用を提案されます。金利も思ったほど高くなく、しかも銀行ローンで要求される「抵当権」の設定が要らない(無担保)上、自宅にいながらにして申し込めるリフォームローンが割安で便利という結論に至りました。
Aさんのリフォームに関する支払額の内訳。金利手数料は3.3%で5年60回払い、ボーナス加算なし。自宅に抵当権を設定することもなく、登記費用が別途かかることもなく、比較的利用しやすいローンであったと言えます。
上記を見ると、Aさんは全額自己資金だけでリフォームするよりも約10万円ほど借入による金利手数料負担が増えたことになりますが、もし今回のリフォームで屋根塗装を見送ったとすると、近い将来屋根のリフォームをしようとした時に、屋根塗装工事費用の他に、足場工事(約12万円)とそれに付随する補修工事(約4万円)を支払うことになります。しかも、リフォームや補修工事を先送りにしたことで、今なら食い止めることができる建物の傷みがさらに進んでしまい、その修理費用が余計にかかることにつながるのです。さらに、今回のリフォームで設置したユニットバスをまたすぐにリフォームしてグレードアップする(グレードアップオプションを追加する)ということもなかなか現実的ではないのです。
リフォーム工事期間中、家族以外の人間が家に出入りするわずらわしさや、業者との打ち合わせ、家族会議などの手間を考えると、Aさんにとってリフォームローンを利用することは、将来の工事費用の削減やこれからも家族と快適に暮らすためには非常に有効な手段となりました。
最初からローンを排除するのではなく、必要に応じて検討
ローンがあるからと言って、むやみにリフォーム内容を増やしてしまい、返済の負担が大きくなってしまうのでは逆効果ですが、上手にローンを活用することで、リーズナブルに住まいを維持、あるいはグレードアップさせていくことが可能になる場合もあるのです。中古住宅を購入してリフォームする場合などでは銀行の住宅ローンを活用することが一般的であり、抵当権(担保)の設定が必要になるのに対し、今回のAさんの事例では無担保で、しかもスピーディ、かつ比較的金利負担も小さく進めることができています。
リフォームローンを選択肢の一つとして加えておくだけでも、リフォームの可能性は大きく変わってきます。「絶対に自己資金だけで!」と決めつける前に、そのリフォームが我が家にとってどのくらい重要であるか、そしてこれからの生活スタイルなどを考慮した上で、資金計画を練るようにしたいものです。