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米「財政の崖」回避 しかし、その後に待つものは…(2ページ目)

昨年2012年末に世界を騒がせたアメリカの「財政の崖」は、なんとか民主・共和で法案を通し、一旦は回避することができました。しかし、「崖」はこれで終わりだと思っていたら、それは大間違いです。

執筆者:All About 編集部


深い深い民主・共和の溝

ともかくアメリカは債務上限を引き上げる法案を通さないといけないのですが、ここで民主・共和両党の溝がまた相当深くなると思われます。

「ただ上限を引き上げればいい」では、アメリカの借金は膨らむばかり。そこで将来的な歳出削減案を出さないといけないのですが、民主・共和ともに自分たちの支持層には悪影響が及ばないようにしたいので、合意に達するのは相当手間がかかります。
  • 社会保障を削減すれば低所得層などから反発
  • 軍事費を削減すれば軍需産業から反発
と、どんな案でも必ず誰かから反発を喰らいます。議員は次の選挙があるので、自分達の支持層からの反発は極力避けたいのが本音なのです。結局、今回もまたギリギリまでもめると思われます。

アメリカはどこへ行く?

どのような歳出カットでも、必ず誰かの反発を喰います。アメリカの政治家は結局、今回も大した歳出削減は決められず、とりあえずデフォルトを避けるために債務上限だけを引き上げてしのぐ手段をとり続けるかもしれません。

となると、今後もアメリカの借金は膨れ上がっていくのみ。先進国はどこでもそうですが、一度決められた社会保障をなかなか削減できていません。削減しようとすると、国民から猛反発を受けます。そのために、財政赤字が拡大しても思い切った歳出削減ができず、赤字は拡大していくのみ……という状態が続いています。

日本などはまさにその状態です。ギリシャは思い切った歳出削減をしていますが、これは他国から支援を受けて財政を建て直しており、EUなどの支援団から強制されています。

アメリカは今後も思い切った歳出削減ができずに、財政赤字は膨れ上がっていくのみになるのでしょうか。リーマンショック前は10兆ドル(約880兆円)程だった借金は、たった4年で16兆4000億ドル(約1440兆円)にまで増えました。

自国通貨なのでドル紙幣を刷って対応するという手もありますが、それだけで簡単に解決する問題ではありません。20世紀をリードしてきた超大国アメリカも、いま重大な岐路に立っています。
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