子供の病気

肝芽腫の症状・原因・検査・治療(2ページ目)

肝芽腫は、神経芽腫、ウイルムス腫瘍(腎芽腫)の次に多い、子どもの三大腫瘍の1つです。肝芽腫は肝臓に発生するガンで、大人よりも子どもに多く発生します。今回は、肝芽腫の症状、検査、治療について説明します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

肝芽腫の検査

肝芽腫

腹部超音波検査で、肝臓より黒くなっている部分が腫瘍です。ガイドが検査を行いました。

腹部超音波検査を行いますと、肝臓に腫瘍がみられ、腹部CT、腹部MRI 検査でも腫瘍を確認します。血液検査で、AFP(α胎児性タンパク)というタンパク質が増加していると、肝芽腫がかなりの確率で疑われます。

このAFPは、元々胎児の肝臓から産生されるタンパク質で、満期で生まれた子どもでは10,000~100,000ng/ml と高値ですが、4~9日で半分になります。生まれてからは産生されなくなりますので、通常であれば、半年で50ng/ml となり、1歳までに成人の値である20ng/ml以下になります。

このAFPが100~1,000,000ng/ml ぐらいまで上昇します。

治療と共に低下し、再発の時にも上昇しますので、非常に重要な指標になります。

貧血、白血球が増加、血液中のコレステロールが上昇していることがあります。

肝臓にできた腫瘍がどんな腫瘍なのか、組織検査(生検)することもありますが、後 6 カ月から 3歳までの年齢で血清 AFP 値上昇と肝腫瘍があれば、肝芽腫の可能性が高いために治療が優先されます。

肝芽腫の治療

基本的には、抗がん剤と外科手術による治療が行われます。大きさが小さい場合は可能なら切除した方がいいです。しかし、発見した時には、既に大きくなっていることが多く、時に肺に腫瘍が転移していたりするために、抗がん剤で小さくして、外科手術を行うことが多いです。そのため、数ヶ月の治療を要します。

肝芽腫への化学療法は、シスプラチンという抗がん剤を含む標準的化学療法が行われますが、再発には決まった治療方法がありません。

切除する場合、完全切除が基本です。ドイツの報告では、完全摘除の無病生存率96%、組織学的遺残という顕微鏡で見て初めて分かる残存腫瘍がある場合の無病生存率100%、肉眼的遺残という見た目に残存腫瘍がある場合の無病生存率76%、遠隔転移ある場合の無病生存率36%ですから、どの部位からしっかりと切除できるかにかかってきます。

治療により、約75%はよくなってきます。特に、3年間再発がなければ、再発する可能性が低くなります。

大きくても転移がなければ約半数、転移があると約1/3が治っていきます。
しかし、ガンですので、再発などには注意が必要です。

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