補助金などの促進支援により登録数が増加
登録された住宅については、「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」サイトに公開されています。2012年11月末時点の登録状況を見ると、総登録棟数は2,587棟、総登録戸数は8万2,809戸で、大阪府や北海道で特に多く登録されています。登録戸数が急増しているのは、6万戸あったといわれる以前の高専賃などからの登録替えが進んでいることが挙げられます。それに加え、該当する住宅を新たに建設する場合や基準に適合するように改修する場合には、補助金が出ること、税制の優遇措置や住宅金融支援機構の長期融資の支援策も用意されていることなどから、不動産や介護サービス企業、医療法人などの事業拡大や新規参入により、新築の登録施設が増えていることも大きな要因です。
事業者ごとにサービス内容や費用負担などが異なる
サービス付き高齢者住宅の特徴は、入居者は賃貸借契約に基づいて「敷金」や「家賃」を、サービスの提供契約に基づいて「サービスの対価」を支払うことにあります。賃貸借契約の形態としては、通常の賃貸借契約(期間の定めがあるもの)と数は少ないですが終身建物賃貸借契約(賃借人が生きている限り存続し死亡した時に終了するもの)がありますし、家賃についても、毎月払いのみの場合と前払いが必要な場合があります。こうした基本的な契約内容に加え、介護度が上がった場合の対応についてなども、事前に確認をしておく必要があるでしょう。高齢者住宅研究所が、昨年9月末時点の登録状況を「サービス付き高齢者向け住宅登録の動向」としてまとめています。それによると、居室面積では「18平方メートル以上20平方メートル未満」が49%と最多で、次いで「25平方メートル以上30平方メートル未満」が19%となっています。一方家賃は、最も住戸数が多い「18 平方メートル以上20 平方メートル未満」の場合で、5,000 円~17万5,000円の幅があり、最も多いのは5 万円(20%)でした。また、敷金は「家賃の3カ月分」(34%)と「家賃の2カ月分」(24%)で過半数となっています。
一方、提供されるサービスは、必須の安否確認・生活相談のほかに、「食事の提供」が95%、「入浴等の介護」が52%、「調理等の家事」は54%、「健康の維持増進」は61%という結果でした。
このように、事業者ごとに住宅の状況や提供されるサービスには、かなり違いがあります。また、サービスの提供は、事業者自らが提供する場合もあれば、外部に委託する場合もあるため、住宅に併設する介護施設などの状況も違ってきます。したがって、同じサービス付き高齢者向け住宅といっても、どんなサービスをどんな体制で提供するのか、費用や支払方法はどうなっているのかなど、事業者ごとの実態を確認する必要があります。
超高齢化が進んでいる今、安心して長く居住できる高齢者向けの住宅の選択肢が増えることはよいことです。しかし、想定外という事態にならないように、事前にしっかりと情報を集めることがポイントになるでしょう。