ヴァイオリンの新女王イザベル・ファウストによる
伸びやかなベートーヴェン&ベルク

イザベル・ファウスト

イザベル・ファウストのベルク&ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲

今もっとも輝いているヴァイオリニストと言えば、イザベル・ファウスト。11歳で弦楽四重奏団を作ったという早熟の才能には世界中の名指揮者たちから共演のラヴコールが届いています。

そして、ミラノ・スカラ座やベルリン・フィルのポストを歴任した名匠クラウディオ・アバドの声掛けで実現したのがこのCD。

彼女の特徴は、抜群の技術と冷静な構成力、そして、とにかく表現が多彩なこと。曲の場面に合わせて研ぎ澄まされた美音から、かすれた表現まで、実に巧み。全体を俯瞰した上でここまで自在な音楽を聴かせてくれるのだから、世界中がトリコになるのも分かりますよね。

アバドの伸びやかで温かなサポートも印象的。協奏曲では指揮者とソリストのバトルが繰り広げられる場合もありますが、ここでは皆無。両者共に、柔らかな美へと向かいます。

ベルクのヴァイオリン協奏曲は「ある天使の思い出に」という副題でも知られます。これは、作曲家マーラー未亡人のアルマ・マーラーが後に再婚したバウハウスの校長であり建築家ヴァルター・グロピウスとの間に産んだ娘マノン・グロピウスの夭折を悼んで書かれた曲。12音技法という無調の作曲法を用いつつも調性をかろうじて聴くことができ、透明な感性がファウストの資質と呼応します。

一方、ベートーヴェンの協奏曲は三大ヴァイオリン協奏曲に数えられる名曲。カデンツァ(即興演奏部)における屈託ない愛らしさがとても印象的。エキセントリックな箇所などない、優しさと美音が溢れる、聴くと穏やかな気持ちになれる見事な演奏です。

■イザベル・ファウストのベルク&ベートーヴェン 協奏曲
・ベルク:ヴァイオリン協奏曲
・ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
ヴァイオリン:イザベル・ファウスト
指揮:クラウディオ・アバド
オーケストラ:モーツァルト管弦楽団

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