ウィルムス腫瘍の検査
症状を見て、腹部超音波検査、腹部CT検査、磁気を使ったMRI検査を行います。お腹にしこりが触れた時には、腹部超音波検査を行います。お腹に発生する腫瘍は、神経芽細胞腫、肝芽腫とありますが、ウィルムス腫瘍は、腎臓から発生していることが、腹部超音波検査で判ります。
腫瘍そのものを見ることも大切ですが、周りのリンパ節の状態を見るためにはCTとMRI検査は重要です。また、肺転移が多いので、胸部X線検査、胸部CT検査も必要です。肝転移については、腹部超音波検査、腹部CT検査、腹部MRI検査を行います。転移は、肺、肝臓に多いのですが、後、脳、骨に転移することもありますので、頭部CT、頭部MRI、放射性物質を使った骨シンチグラフィーで検査を行います。
血液検査では、特にウィルムス腫瘍を診断するマーカーがありません。
ウィルムス腫瘍の治療と予後
ウィルムス腫瘍は、どこまで病気が進行しいているかどうかの病期と、腫瘍の状態(病理と言います)で予後がいいのか悪いのかを診断して、治療方針が決まります。腫瘍の状態を見るためにも、外科的な手術は必要になってきます。外科的な手術の時期は、術前に抗がん剤による化学療法を行って腫瘍を小さくして腎臓を残して腫瘍のみを摘出する手術、腫瘍と腎臓共に摘出する手術して化学療法などを行う方法など、腫瘍の大きさ、転移の有無、予後のいい腫瘍か悪い腫瘍かをみて、総合的に治療されます。
ウィルムス腫瘍の80%以上は治療に良く反応するタイプ(予後良好型)です。
予後良好型の場合、手術で摘出可能である病期 I、IIでは腫瘍摘出後にアクチノマイシンD、ビンクリスチンなどの抗がん剤を用いた化学療法を行います。
転移があって摘出が完全にできない進行した病期III、IVでは腫瘍摘出後にアクチノマイシンD、ビンクリスチン、アドリアマイシンなどを用いた化学療法と放射線照射を行います。
予後は、早期発見で転移の無い例、ステージ1で2年生存率は95%です。予後が悪い腫瘍である腎明細胞肉腫では、2年生存率は85~90%、ただ、腎横紋筋肉腫という腫瘍は、極めてなおりにくい腫瘍です。
お腹が大きい時には、腹部超音波検査をしておきたいものです。