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箱根で村野藤吾の美意識を読む。(2ページ目)

【石川尚の『美品散歩』#13】散歩がてらにブラリ立ち寄る場所がある。散文・スナップで気になるモノ・ココロを綴る。今回は「箱根」。日本建築界の巨匠:村野藤吾氏の美意識空間を楽しんできました。

石川 尚

執筆者:石川 尚

ファニチャーガイド

村野藤吾の美意識を凝縮した椅子。


大開口の窓、大判の黒タイル床の上にカーペットのピース敷き。そして低めのテーブル+椅子のセットが整然と配置されている。ソファでもなく、小椅子でもない、座高:300余りの低い椅子。背の部分が緩やかにカーブしてとても愛嬌がある。テーブルも含め、村野藤吾(村野・森建築事務所)デザイン。


森からの光が差し込み優しく柔らく低温な「間」が生まれている。

ボクはここの椅子が大好きである。20年前、始めてここに来た時に一目惚れ。その当時と全く変わっていないこの椅子は、モダンデザインとは一線をひいた木の椅子だが、けっしてクラフトっぽくなく独特な雰囲気を醸し出している。


緩やかに開きながらカーブを描く椅子の背の端部にはクッションがあり、………
写真をクリックすると、全体画像が拡大されます。
真っ正面から見るとどーんと広めの座面から上部に有機的にのびた背には……
写真をクリックすると、正面全体画像が拡大されます。
座面と背の付け根も背端部と同様な納まりになっている。それにしても………
写真をクリックすると、側面全体画像が拡大されます。
背面から望むと背はしっかりと座をサポートするように配置され、端部の緩やかな曲面と………
写真をクリックすると、背面全体画像が拡大されます。
天井の有機的な造形は、ロビーに配置された椅子のディテールに影響し、いやその逆かもしれないが、おたがいに呼応しながら外部の自然環境と溶け合い、まるで森の体内のようにゆったりとした空間を創りだしている。 このロビーを抜け階段を下りる。 正面には独特な外観をもつ建物がみえてくる。 まさに村野藤吾の意匠、力強い有機的な造形が静寂とした森林に佇んでいる。
まるでキノコのように森の木々と佇む建築。ここのバルコニーからの景色が格別。

さて、 美しい外観はロビーにある椅子同様、村野藤吾の美意識が遺憾なく発揮されてている。 次回はこの外観についてご紹介しますので、お楽しみに! …………………………………………………………………………………………… ■今回の関連リンク 箱根プリンスホテル





☆ 石川尚のココロの散文『美品散歩』バックナンバー
・#12/七転八倒、イームズをつくる(後編)
・#11/ 七転八倒、イームズをつくる(前編)
・#10/MoMaに収蔵の家具を作る職人
・#09/建築と暮らしの手作りモダンに魅せられて
・#08/MADE IN JAPAN 「江戸意匠」の試み(後)
・#07/MADE IN JAPAN 「江戸意匠」の試み(前)
・#06/気ままにプカプカ「さかなの照明」
・#05/『成功する仕事場づくり』の本
・#04/アルマーニと安藤忠雄の共演空間
・#03/allaboutなロビーに鎮座のソファ
・#02/ウィーンのX'masとエンジェル
・#01/「さかなの一週間」

★名作椅子を綴る石川尚の『一家一脚・椅子物語』シリーズ バックナンバー

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