メリハリは節約の重要ポイント!上手にコストを削ろう
前ページで「一律10%節約」は下手な会社のリストラのようだ、と言いました。企業でコストカットが流行ったとき、賢い会社は「削れるところ」「削ってはいけないところ」を分けて「全体として10%経費節減」を達成しました。結果として不要の部門を圧縮し成長分野は伸ばすことができています。愚かな会社は「全部門一律10%カット」のように経費節減をしたところ、本来コストをかけなければいけない部門(研究開発、新規事業、営業促進等会社によって異なる)までコストを削ってしまったため、むしろ業績そのものを下げてしまいました。
個人においても同様で、節約はメリハリをつけつつチャレンジすることが必要です。「不要のコスト」はとことん削るべきです。実際には何の満足も生み出していない惰性の出費や、一瞬の消費欲だけを満足させてその後は埃をかぶっているような買い物はとことん削ります。自分の嫌なところと向き合う必要もありますが、そこに家計改善のチャンスがあるのです。また高額出費を削れた場合、毎日ちまちま節約するよりよほど効果的だったりします。
逆に「削ることが生きがいや働きがいに関わる部分」があれば、そこは無理に削る必要はありません。削ったとしても無理のない範囲で節約すればいいのです。ある食材を安いモノに変えてみたら不味いとしか感じないのに、それを無理に続けてもストレスが溜まるばかりです。こういう場合は別の食材のほうでコストカットを考えたり、他の支出項目で節約を検討してみます。
あるいは、ときどき「ご褒美」を入れることもメリハリのヒントです。節約をがんばった自分にはトータルではムダづかいにならない程度にご褒美をあげれば、続ける根気もわいてきます。しかしバランスのよい「ご褒美」設定はアタマを使わなければなりません。
節約は運用といってもいい知的行為である!
節約は実はとてもアタマを使う行為だという話をしてきました。自分に合った節約を考えたり、節約の配分を考えることは、知的格闘技だと私は思います。賢い人ではないと節約にこだわれない、と言ってもいいでしょう。節約をすることで私たちは「同じ稼ぎで、残るお金を増やす」ことができます。つまり、節約は貯蓄をしたり、運用をする原資を確保する手段でもあります。
今までなかったお金を生み出す、という視点で考えてみれば節約は運用といってもいいくらいです。しかも株や投資信託の資産運用では元本割れ(マイナス)がありえますが、節約という運用は、がんばるほどに確実にプラスになります。もしうまくいかなくても今までと同じ出費であればマイナスということはありません。
今の時代にお金を増やしていくことはとても大変です。資産運用も重要ですし、年収を増やすキャリアアップも重要ですが、同様に節約も重要といえます。これらの3つがバランスよく実行されることで、お金はもっと効率よく貯まり、増えるようになります。
お金を増やしたい、と思う人ほど、足下の節約について考えてみてはいかがでしょうか。