還付額は意外とわずか!?
レシートが集まったら、さっそく計算をしていきましょう。計算式は以下の通りです。「1年間にかかった医療費-保険からの補てん額―10万円(もしくは所得の5%)」
例えば、1年間の家族の医療費合計が70万円で、保険等から50万円の給付があった場合、上記の計算式に当てはめると
70万円-50万円-10万円=10万円
となり、医療費控除額は10万円と計算できます。
しかし、この10万円がまるまる戻ってくるわけではありません。実際に戻ってくるのは、医療費控除額に税率をかけた金額です。
日本は累進課税のため、課税所得によって税率が異なります。
所得税率が5%(課税所得が195万円以下)の人なら、還付金額は10万円×5%=5000円
所得税率が10%(課税所得が195万円超 330万円以下)なら、還付金額は10万円×10%=1万円
所得税率が20%(課税所得が330万円超 695万円以下)なら、還付金額は10万円×20%=2万円…となります。
税率がもっと高い人はもっと多くの金額が払い戻されることとなります。
共働きの場合、家族全の分をまとめて申告できます。一般的に、税率が高い人がまとめて申告した方が、戻り額が大きくなります。
医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらか一方のみを選択
2017年から、セルフメディケーション税制がスタートしました。この制度は、日ごろから健康診断を受けるなど、健康維持増進や疾病予防をしている人が、市販の対象医薬品を年間1万2000円以上購入した場合に、1万2000円を超える部分の金額について総所得金額から控除できるという制度で、医療費控除の特例となっています。医療費控除に該当する人は、こうした市販の医薬品についてもすべて医療費控除で申請できます。一方で、残念ながら医療費控除の対象には満たなかった人でも、セルフメディケーション税制の対象になる可能性があります。両制度はどちらか一方のみを選択することになっています。
共働き夫婦には意外なメリットも
医療費控除の計算をしてみて、「これくらいの金額なら、忙しい中わざわざ申告するのも面倒……」とがっかりした方もいるかもしれませんね。しかし、共働きファミリーにとって、医療費控除など確定申告にはもう一つ大きなメリットがあるんです。確定申告をして所得を小さくできると、前年の所得をもとに計算される保育料や住民税が安くなる可能性があるんですよ。この辺りまで踏まえて考えれば、忙しくても申告する価値があるかもしれませんね。