トラブル無く介護を行うためには、
多くの人々との連絡が必要
介護において、必要なときに必要な相手と連絡が取れることはとても重要です
ガイドである私が約3年にわたって両親の遠距離介護を行っていたとき、つくづく実感したのが「介護には多くの人が関わる」ということでした。
私の妻やさまざまな手続きを行ってくれるケアマネジャーはもちろん、かかりつけのクリニックや母の入院先の病院、訪問介護を依頼している事業所、デイサービスを依頼している事業所、配食サービスを依頼している事業所、民生委員、実家の近所に住む人など。ざっと挙げていくだけでも10数カ所の人たちと連絡を取り、問題が起きないように、そして問題が起きたときにも素早く対応できるように連携をはかっていく必要がありました。
私はひとりっ子なのですが、兄弟姉妹が多い人や、親戚などにも介護を助けてもらう人の場合は、さらに多くの人々と連絡を取り合う必要に迫られているのではないでしょうか。
実例で見る、目的別の介護連絡先一覧
遠距離介護が始まった頃は、私自身の携帯に関係先の電話番号などを登録して、そこからお願いの電話をするだけでした。しかしそのうち、実家の生活援助などに来ていただいていたヘルパーさんや、近所の人たちからも私に電話をかけてもらう必要が出てきて、もっと簡単に連絡先を伝える方法はないのかな、と考えるようになったのです。
私が考えたのが、目的別に必要となる連絡先情報を1つにまとめ、それを共有することでした。具体的に私が使っていたサンプルを見ながら、ご紹介しましょう。
1.連絡してほしい相手に渡す
両親に何かあった際の緊急連絡先として、さまざまなサポートをしてくれる人たちに事前に渡したものがこちらです。24時間365日連絡が取れるよう、自分の携帯や自宅、会社の電話番号はもちろん、妻の携帯なども記載しました。
私自身はケアマネジャーをはじめとする介護関係者、医療関係者、自治体の福祉関係者、民生委員、実家の近所の人などに渡したのですが、必要に応じて、兄弟姉妹や親戚、親の友人、地元の友人などにも渡しておくとよいでしょう。玄関やリビングのわかりやすいところに予備を10枚ぐらい常備しておき、新しいホームヘルパーさんが来たときに持って帰ってもらうようにもしていました。
2.親自身に持たせる
いわゆる迷子札的なものですが、外出時に急に体調が悪くなった際などに、助けてくれた人や警察などがすぐに身元を判断できるよう、両親の財布やバッグに入れていたものがこちらです。
私の実家は基本的に両親の二人暮らしだったので、母が入院しているときは父だけ。外出時に携帯しているのが父の身分証明書(目隠居や保険証など)だけだと、肝心なときに私に緊急連絡が取れなくなることから、言い含めて持たせるようにしていました。
可能であれば、カード型に加工しておくと携帯しやすくて便利だと思います。
3.実家の壁に貼り出す
実家の電話機の前に貼り出していたのがこちらです。関係先に趣旨を伝えた上で、関係者の連絡先を一覧にさせてもらい、実家を訪れた方ならすぐに見られるようにしておきました。
ある夏の日に、両親が実家で脱水症状で倒れてしまったものの、夕食を届けに来た配食サービスの方が発見して、この連絡先一覧を使って必要なところに連絡を取ってくれたおかげで、大事を免れたといったこともあります。
個人情報保護との兼ね合いをどうするか
病院や介護事業所などの世間に公表されている連絡先なら問題ありませんが、親戚、民生委員、実家の近所の人といった人々の個人情報を、他の関係者と共有する場合は、面倒でもそれぞれに一声かけて、理解を求めるようにすることをオススメします。判断力が衰えている高齢者の方が、悪徳セールスなどをうっかり家の中まで上げてしまった場合、関係者の連絡先までダダ漏れになってしまう危険がゼロとは言えませんから。
しかし、この手間をかけて連絡先の共有を依頼するという過程を踏むことで、関係先の人々との精神的な距離が縮まるのも事実。いっそこれをきっかけに、もっと気軽に声を掛け合えるような仲になることをめざしましょう。
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