日常性まで求められる最新スーパースポーツ
真のスーパースポーツカーに要求される要素は、飛び抜けたパフォーマンスだけじゃない。そのほか、スタイリングの個性や稀少性といった昔ながらの要素に加えて、最近では扱いやすさや乗り心地といった日常性まで求められる。この4つの要素をまとめあげた代表例は、ポルシェ911ターボであり、ノーマルの911が1000万円台でみせるスタンダード性と同様に、オーバー2000万円以上における1つの理想像として君臨している。
R8は、正にその911の上級グレードによって拡大されてきたマーケットを狙った、ミドシップのスーパーカーである。
それゆえ、アウディがR8というクルマにおいて戦略的に考えたことが、今や同じグループであるポルシェのそれとほぼ同じであったとしても、不思議ではない。つまり。ラグジュアリィ化と軽量化の両面によるモデル認知度のアップと、モータースポーツに力を入れることだ。前者はV10モデルやスパイダーの追加、後者はGT3カテゴリーへの参戦、として、それぞれ現実のものとなっている。
その次として、当然、考えられたのが、ポルシェも得意とする、限定車ビジネスである。まずは、GT3のイメージをもって世界333台限定でクーペモデルのGTがデビュー。こうなると、お次はその屋根をぶった切るというのも、この手のビジネスの常套手段であり、案の定、GTのスパイダーバージョンが、これまた世界333台限定で登場した。
正直に言って、フロントカナードや固定リアウィングといった勇ましいアイテムが、スーパーカーのなかでも異例に洒落たR8スパイダーの容姿に似合うとは思えない。ボクには、せっかくの美しい着物姿の女性が、そのまま勇ましく手足を襷掛けしたような違和感を覚えてしまう……。