一般的な速読術はない
人間に人それぞれ個性があるように、作家の文体も十人十色です。また作家個人の癖などもあります。
W・サマセット・モームを引用します。(英国最大の小説家について)
「孤島、卑俗、饒舌、感傷癖など欠点はいろいろあるにせよ、やはりディッケンズが最大である」(読書案内)
私は歴史小説をよく読みますが、海音寺潮五郎と司馬遼太郎では後者が圧倒的に早く読めます。でも中身が身につくのは、海音寺さんです。
読み方はまったく同じ、普通に読んでます。書き手と読み手の相性かも知れません。
時代も関係してきます。森鴎外、徳富蘆花などは、現代人では速読不可能でしょう。
自説に固執して、それをひたすらゴリ押ししてくる著者もいます。
評論家に多いのですが、こうした本には辟易させられます。
読む人書く人、読み方書き方いろいろあって一般的な速読術はない、というのが私の意見です。
とはいえ速読術などないといったら身もふたもないので、私なりの方法を紹介します。
私なりの速読法
■スキップ読めない漢字、意味の分からない言い回しなどは無視。
5行おきに読んでもかまいません。
目次、あらすじなどがある時はそれを読んで読みたいところだけ読むのもお薦めです。
■読む順番を工夫する
司馬遼太郎が亡くなった時、主要作品を読破しようと思いつき取り掛かりました。
途中でふと「時代順に読んだらおもしろいかも」と思いつき、やってみました。
これが実に大正解だったのですが、他の作家が絡んできて大騒動になりました。
海音寺潮五郎、吉村昭、津本陽、舟橋聖一……etc。
他の人の作品まで読むハメになって「坂の上の雲」までたどり着けませんでしたが、
結果的にはたくさん読破しました。
■一度に5冊は読めます
本は1冊ずつ読むものだと思われがちですが、5冊ぐらい同時に読むのも結果的に速読になります。半月ぐらい読まないのがあっても大丈夫、思い出します。
これをやるときはしおりを使わないこと。
ぱらぱらとめくって思い出したところから読んで十分です。
■私の強いていう速読法 「2度読み」
最初に普通に読む。
2度目はサラサラ読み、または飛ばし読み。
逆でもかまいません。