沖縄の観光・旅行/沖縄の離島

離島を訪ねる旅、粟国島

沖縄本島の北西に位置する粟国島。数ある沖縄の離島の中でもけっして目立つ存在ではない島ですが、映画『ナビィの恋』のロケ地になったことでその名前が知られるようになった島です。最近では粟国の塩や粟国の黒糖など特産品のブランドとしてもよく聞かれるようになりました。観光地化とは真逆に位置する粟国島の魅力をお話しましょう。

小林 繭

執筆者:小林 繭

沖縄ガイド

 離島を訪ねる旅、粟国島

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青い空の下に広がるサトウキビ畑。高い建物などひとつもない粟国島の風景


みなさんは粟国島という島を知っていますか? 沖縄本島、那覇の北西約60km、渡名喜島の北に位置する周囲12kmほどの小さな静かな島です。映画『ナビィの恋』のロケ地になった島といえば、ああと頷く人もいるのではないでしょうか。観光地という言葉からはほど遠いこの島には、自然のまま手つかずの沖縄の風景と、フクギ並木や赤瓦の屋根の上で青空に映えるシーサー、民家の庭に植えられたパパイヤの木など、島人たちの生活を垣間見ることができる素朴な集落の景色があります。塩や黒糖でも知られる島で、最近では本州のスーパーでも粟国島産の塩を見かけますね。そして、ダイバーにとっては、魚影も豊富でギンガメアジのトルネードなどダイナミックなダイビングが楽しめる、まさにダイビング天国の島。

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フクギ並木と珊瑚を積み重ねた塀がなんとも沖縄的な粟国島の集落


数ある沖縄の離島の中でも、観光地として開発されていないゆえ、行ったことがないという人の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。観光スポットをまわったり、優雅なリゾートを満喫したりするようなタイプの旅ではありませんが、島で体感する風や太陽、そしてそこに流れる時間はまさしく沖縄のもの。沖縄の原風景に出会える島です。
今回はそんな沖縄の旅をご紹介しましょう。


粟国島へのアクセス&基本情報

粟国島へ行くには、那覇の泊港からフェリーを使うのが一般的です。一日一往復、所要時間は約2時間10分。お天気がよければ、真っ青に輝く海を眺めながら、のんびりと船旅を楽しむことができます。不定期便ではありますが、那覇空港から飛行機の運行もあり、こちらはなんとたったの20分の空の旅。定員9名の小型プロペラ機なのでチャーター機気分を味わうことができますよ。

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島を散策していると牛の姿にもよくお目にかかります


粟国島の宿泊は基本的に民宿となります。プライベート感を重視する人はプチホテルを利用するといいでしょう。ホテルといってもリゾートホテルのようなラグジュアリーなホテルがないのはたいていの離島と同じです。飲食店の数も数えるほどなので、食事付きで宿を取ったほうが便利。島には数軒の商店の他、スーパーもあるので、ちょっとした買い出しに困ることはありません。島内観光はさすがに歩いて廻るには大きい島なので、自転車かレンタカーがあったほうが便利です。各民宿か村役場に問い合わせをしてくださいね。

粟国島の見所

■ウーグの浜(長浜ビーチ)
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真っ白な砂とコバルトブルー~エメラルドグリーンに輝くウーグの浜。この美しいビーチを独り占めできるのは粟国島だから!


島の東側に広がる白砂のビーチ。ダイビング天国でもある粟国島の海はもちろん抜群の透明度! 素晴らしい美しさにも関わらず人影もまばらで、ほとんどプライベート感覚で過ごせる、のんびりするのにピッタリな贅沢ビーチです。海の中は遠浅で、ビーチエントリーですぐにリーフが広がるのでシュノーケリングを楽しむことができます。干潮時なら小さな子供でも安心して遊ばせることができるでしょう。トイレやシャワーも完備されていて便利。ちなみに慶良間の海が気に入ってリピーターになっている人も多いと思いますが、慶良間に魅了された人はきっとウーグ浜も気に入るはず。ぜひ粟国の海も体験してみてください。ウーグ浜は朝日ポイントでもあるので、早起きして散歩がてら朝日を見にくるのもおすすめです。

■割れ岩(ヤマトゥガー)
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不思議な形でそそりたつ岩。岩の手前と先ではまったく違う景観というのも面白い


島の南にある大きな割れ岩。斎場御嶽の岩と似ているかもしれません。岩の間を抜ければ南側の海岸に出ます。砂浜ではなく石の浜で、全体的にちょっと不思議な雰囲気の場所。人によってはパワースポットと感じるようです。

■マハナ岬
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島で一番の高台になるマハナ岬。目の前に広がるのは真っ青な海と空。久米島や渡名喜島が見渡せる


粟国島一の景勝地。島の西側に広がる高台で、東に沖縄本島、南に慶良間所等、南西に渡名喜島、西に久米島を見渡すことができます。夕陽を見るのにも絶好のポイント。

■筆ん崎
マハナ岬の先端にそびえる海抜87mの奇石。垂直に削り取られたような断崖絶壁の岩壁は火山灰が積み重なったもので、ダイナミックな景観が楽しめます。干潮時は海岸沿いに歩いて行くことができます。

■洞寺(テラ)
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真夏でも鍾乳洞の中はひんやり。洞窟の中に差し込む陽射しがなんとも神秘的


島の北側にある大きな鍾乳洞。古くから島の人々には聖地として崇められてきた場所で、200年前ほどに雲水という僧侶が住み着いたことから洞寺(テラ)と呼ばれています。



■ナビィの恋ロケ地巡り
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島の北に位置する海岸も『ナビィの恋』でのロケ地のひとつ。粟国島に行く前に『ナビィの恋』は絶対見るべし!



粟国島にはあちこちに映画『ナビィの恋』のロケ地となった場所があります。粟国港に始まり、集落の中にあるナビィの家、商店に利用された建物、牧場のシーン、などなど。島の北側の海岸も映画のロケ地となったようです。村役場で『ナビィの恋』ロケ地マップをくれるので、地図を見ながら集落の中を散策してみてください。

■ダイビング
ダイバーなら一度は行ってみたい粟国島。那覇から日帰りで潜りに行くこともできますが、せっかくなら島に泊まってゆっくりと粟国の海を楽しんだほうが何倍も楽しいはず。粟国島周辺の海は回遊魚が多く見られることで有名で、ギンガメアジの大トルネードを見るために多くのダイバーがやって来ます。大物遭遇率も高く、ダイナミックな地形ポイントも楽しめます。近年、海底遺跡?なるものが地元のダイバーによって発見されています。

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沖縄の島の風景として定番のヤギ。粟国島にももちろんたくさんのヤギの姿が


あれもやりたい、これも見たい、あれも食べて、これも食べて、というTO DO リスト満載な沖縄旅もそれはそれで沖縄の旅の楽しみですが、たまには何もせずに沖縄を見て感じる沖縄の旅もいいものです。特に小さな離島で過ごす島時間は、沖縄を深く感じることができるとても贅沢な時間。島の空気に溶込んでゆるりとした時間を過ごすためだけに、船に乗って離島へ出かける。何度目かの沖縄なら、そんな旅もぜひ体験してみて欲しいなとガイドは思っています。満点の星空、夜風に吹かれて呑む島酒の味、島人との何気ない会話…etc. 他愛もない、けっして特別ではないふとした風景の中に、じんわりと心に沁みる愛すべき沖縄があることにきっと気づくはずです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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