PM2.5とは
視野は10km先が見にくくなれば、黄砂が飛来しています。
大気汚染の原因物質としては、もう少し大きな直径が10μm以下の粒子が知られており、大気中に浮遊する粒子状の物質を「浮遊粒子状物質」と言って、Suspended Particulate Matterを略して、SPMと言います。
PM2.5は、そのサイズの喘息や気管支炎の原因になります。PM2.5の代表として挙げられるのがディーゼル排気粒子で、0.1~0.3μmの大きさです。喘息の1つの原因にもなっています。
非常に小さな粒子であるために飛散距離が長いことも問題になり、現在、中国からのPM2.5が日本に飛散しています。例えば、数キロ数十キロ飛散するスギ花粉は20μmですから、花粉に比べると非常に小さい粒子だということがわかると思います。なお、例年問題になることの多い黄砂は1~10μmの浮遊粒子状物質です(参考:「黄砂が飛ぶとアレルギーが悪化、対策は?」)。
気管支喘息の原因にもなるPM2.5
日本で多く見られる気管支喘息の多くは、ダニや家のホコリ、ペットが原因となるアレルギーですが、かつては公害病の1つとして考えられていました。教科書に出てくる四大公害病をご存知でしょうか? 有機水銀が原因の水俣病、第二水俣病(新潟水俣病)、カドミウムが原因のイタイイタイ病、石油コンビナートなどの工業地帯が原因となった四日市ぜんそくの4つです。国道43号線公害訴訟などでは、自動車の排気ガスによる健康被害などが問題となり、これによっても空気中の汚染物質が健康被害を起こすことが知られました。これらの公害の教訓から公害対策基本法が制定され、1993年に環境基本法となり、現在の日本では環境規制が行われているのです。
気管支喘息の原因は、大気汚染、NOxなどの排気ガス、ディーゼル粒子などで、同時に、喘息発作を誘発することも知られています。外出時に、咳込み、呼吸困難、目のかゆみ、鼻水、くしゃみがひどいなどの症状がある場合、PM2.5の影響もあるかもしれません。
PM2.5の影響で屋外競技などを控えるべき基準値
経済活動の中では様々な有害物質が出てくることがあります。コストがかかるからと言って、そのまま環境に流せば、人類が生きにくい環境を作ることになります。日本の環境基準法ではSPMの環境基準が決められており、年平均1平方メートル当たり100mgになると呼吸器への影響や全体の死亡率の上昇などがみられることが報告されています。そのため、SPMの環境基準では、1時間の値として、1日平均値が1立方メートル当たり0.10mg以下、単独の1時間の値として、1立方メートル当たり0.20mg以下と定められています。つまり、1時間当たりは0.2mg以下で、1日を24時間で割った1時間当たりは0.1mg以下ということです。
PM2.5については、環境基本法による環境基準として、1年の平均として1立方メートル当たり15μg以下、1日の平均として1立方メートル当たり35μg以下と定めています。今回、外出、屋外での競技などを控える基準として、1日で1立方メートル当たり70μg以下として定められました。
マスクや空気清浄機も有効? PM2.5予測が多い時の対策法
ガイドが小学生の頃は、光化学スモッグ注意報が出ると窓を閉め、屋外での運動が中止されました。PM2.5の予測が多い日も、同様の対策が有効です。- 外出をできるだけ控える
- 外出時には、N95という気密性のいいマスクをする(ただし、長時間の装着は息苦しいので向いていません)
- できるだけ窓を閉める
- 屋内では空気清浄機を使用する
空気とアレルギーについての参考サイト→「Dr.キヨマスのお悩み相談」