「Room for Care-スウェーデンのケアデザイン」
インテリアデザインやファニチャーデザインもいよいよこの領域にはいってきたか?……と思う大変興味深い展覧会が行われた。
新宿OZONEにて開催された『ケアデザイン』展(社団法人日本インテリアデザイナー協会主催)……「ケア」領域に踏み込んだデザイン活動……がそれだ。
高齢化社会にふさわしいデザインの在り方を考えさせられる展覧会であり、NHK、朝日新聞など各メディアの異例の取り上げ方にケアデザインへの関心の高さがうかがわれた。
西新宿3丁目の新宿パークタワ-OZONE/3Fで開催のケアデザイン展、展示風景。 |
同時に開催のシンポジウム『ケアを支えるデザイン』では、スウェーデンの建築家デザイナー:オーレ・アンダソン氏が基調講演。「Room for Care-スウェーデンのケアデザインの今」と題し、福祉先進国スウェーデンの環境デザインの基本となる「ケア」の発想と実践について、事例を紹介した。後ほどご紹介するが、からだとこころのケアをめざす空間をつくる上での考え方やノウハウをまとめた出版がその内容である。
会場では、「ケア」こころづかいのかたち、「つえ・ささえるデザイン」「ささえるアラカルト」などをテーマにファニチャー、インテリアアクセサリー、プロダクトなどケアに関わるデザインを紹介展示している。
キッチンアイテム、居室、寝室など、ケアをデザインした住まいのアイテムが並ぶ会場 |
まず、最初に可動式キッチンワゴンをご紹介しよう。
料理研究家の辰巳芳子さんがデザインしたワゴンは、天板が折り畳み式のコンパクトワゴン「ユトリナアーレ」。
天板にはクッキングヒーターが埋め込まれ、下部には小型冷蔵庫も内蔵されている。作業台にもなるが、椅子を用いれば「食卓」として使用出来る。
辰巳芳子さんデザインのコンパクトワゴン:「ユトリナアーレ」 |
白を基調に抽き出しや扉にカラフルな色をポイント使いは、70~80年代のデザインを彷彿する。ベットに脇や、小空間での使用に、そしてお部屋のアクセントになるコンパクトワゴンだ。
次ページでは、住まいや人の行動に必要な「ささえる」デザインアイテムをご紹介しよう。