歯科インプラント/歯科インプラントができる医師・医院の選び方

歯科インプラントができる上手な歯科医の選び方

歯科インプラントにしたい…。でもどこの歯科医院に行ったらいいのかわからない。信頼できる歯科医院で安心安全の歯科インプラント治療を行う参考にされてください。

梅田 和徳

執筆者:梅田 和徳

歯科医 / 歯科インプラントガイド

皆さんは、重要な買い物を情報ゼロでしますか? すでに購入して使った経験がある物や、問題が生じてもリスクの少ない少額の既成品であれば情報ゼロでの買い物もあるかもしれません。既成品であっても金額の大きな買い物だったり、自分本位の物を作る場合、アフターサービスや口コミなど、その他様々な情報収拾をして買い物するお店を決めていると思います。

今や日本全国に約7万件の歯科医院があるのですから、近くて便利な歯科医院といっても1件ではなく複数あるでしょう。歯科治療は大切な医療行為です。健康を司る消化器系の入口「口腔」という大切な組織を管理するのが歯科医院。人によって状態やその対応は千差万別で、1つ1つがフルオーダーメイドなのです。簡単な悩みなら、アクセスが良く通いやすい歯科医院ということが優先されてもいいですが、高いスキルが求められる歯科インプラント治療においては、慎重に正しい歯科医院選びをしなくてはなりません。残念ながら、どの歯科医院でやっても同じ結果は得られないからです。皆さんが、口コミや紹介、インターネットや雑誌などの様々な情報を収集して、ご自分の求める歯科医院を探していらっしゃると思いますが、その歯科医院選びの参考になればと思います。

日本の歯科医は一般歯科(総合診療)が大半

海外居留経験のある方などはわかると思いますが、欧米では歯科でもしっかり専門医制度が確立されています。歯周病や神経治療、補綴やインプラント口腔外科などそれぞれの専門医が、独立開業した後も自分の専門分野の治療しかしません。日本のように、子供の虫歯治療からおじいちゃんやおばあちゃんの総入れ歯の治療もこなし、真横に埋まっている親知らず抜歯やインプラントオペまで1人の歯科医が行うなんて事はあまりないのです。専門医が1つのチームを形成していて、「私は補綴専門だから、口腔外科の〇〇歯科医のところで抜歯~インプラントまで行ってから戻ってきてください」という形態。もちろん全てがそうではありませんが、高いクオリティを目指している歯科医であればあるほどその形式をとっている事が多いです。日本にはそういった「患者さんが複数のクリニックを移動する文化」があまりありませんから、1つの医院で総合的に治療するという形が大半です。

インプラント専門医

国内外、様々な学会があり、それぞれ専門医制度が確立されています。どの学会でもそうだと思いますが専門医を取得するためには高いハードルがあります。学会所属期間、学会・研究会等への出席、教育講座の受講、自分で治療した症例の学会発表、学会誌への論文掲載、一定数の症例の提出、筆記試験・口頭試験・面接など・・・、治療経験や症例の予後のチェック、コンスタントに現在も診療を行っているかどうかや、診断治療計画など知識や考え方の部分で間違いがないかどうかを審査されます。ただし、日本医学会に帰属する公的組織から民間組織まで学会や研究会等は数多く存在しますので、どの学会の専門医なのかを見極める必要があります。

清潔域と不潔域の区別

歯科インプラント治療は歯肉の中にインプラント体を埋め込む外科手術があります。フラップレス手術という歯肉を剥離することなく埋入する方法もありますが、最近は抜歯してからインプラントを埋入する期間がどんどん短縮していくため、抜歯した穴の名残が何らかの形で残っている事が大半。なので、歯肉を切開剥離し、顎骨を露出させて行う手術がほとんどです。本来顎骨は歯肉に覆われているものですから、長時間不潔な状態で外界にさらしておく事は良くありません。全て滅菌された器具器材を使用し、スタッフもそれと同等の準備をしなければならず、それ以外の通常の部分との区別をしっかりしなければなりません。できれば専用の手術室で隔離された状態であることが望ましいと言えます。

デンタルCTによる3次元データ

医療行為の全ては診断に始まります。そこが間違っていてはいけません。正確な診断をして安全な治療計画を立てるには、事前情報が多ければ多いほど正確になります。通常の2次元のパノラマレントゲンだけでは奥行きがわからず、重なっている部分が多かったりゆがみも大きくなるうえ情報量に限界がありますので、デンタルCTによる3次元データであらゆる角度から顎骨の厚みや神経の位置などを精密診断する必要があります。
CT

デンタルCTによる3Dデータ

現在では、このCTデータからシミュレーションソフトで適切なインプラント埋入サイズや位置をプランニングし、それをくるうことなく正確に手術を行うガイデッドサージェリーも多く行われるようになりました。自医院でCT装置を持たずに提携しているCTセンターや大学病院などに撮影のみを依頼するなど、デンタルCTの必要性は高くなっています。

総合歯科診療

歯科インプラントは埋入手術だけではありません。その後は、健康な周囲歯肉で維持できるように歯周外科が必要になったり、上部構造と呼ばれるかぶせ物(クラウン)をバランス良く入れなければなりません。その前に、歯科インプラント治療だけで解決する方ってどれくらいいるのでしょうか? 大半の方が、虫歯があり、不適合な詰め物やかぶせ物が入っていたり、歯肉に問題があったり、咬み合わせが崩れたり…。複合的な問題を持っているはずです。というよりも、そういった一見かけ離れた問題から、歯科インプラントが必要になるような欠損ができてしまったとも考えられます。そういったことで、1本の欠損部分だけを解決するのではなく、口腔内全体をしっかり診断・治療・管理ができる総合力を持った歯科医院を選ばなくてはいけません。また、その人固有の生活習慣などをしっかり理解して治療に当たるような全身の健康管理ができなければなりません。口腔内だけ、患部だけではだめなのです。

予防・リコール・メンテナンスシステム

靴のかかとと同様、よく咬めば咬むほど歯は擦り減ります。咬み合わせが低くなりすぎると様々な大きな問題が生ずるのが口腔内。定期的にチェックして、バランスの良いかみ合わせを維持していかなければなりません。周囲歯肉の状態を健康な状態に維持するためには、歯科衛生士によるプロフェッショナルケアが大切です。毎日のセルフケアで管理できない部分を定期的にお手伝いしてもらう事も大切です。継続的に診てもらう事で、小さな変化に気づいてくれる可能性が高くなりますので、治療終了後も長期間メンテナンスに通院できるクリニックかどうかも重要です。治療中よりも、治療後の方の人生の方がはるかに長いですから。

記録・管理

高い目標を目指している歯科医院は、しっかりと診療記録を撮っています。歯科インプラントは健康な骨と歯肉で支えられていますので、レントゲンで骨を確認するだけでなく、歯肉の色や退縮の程度などを継続的に比較するために写真を撮る必要があります。業者が作った説明ソフトだけでなく、その先生ご自身が過去にされた患者様の口腔内写真やレントゲン、それらの保存状況を見れば、その先生及びクリニックの日常の診療姿勢や先生の性格、目指す目標の高さまで何となく見えてきます。ただし、そういった写真やレントゲンは守秘義務がありますので、他の患者さんにお見せする承諾をとっていなければなりません。


【歯科インプラントの注意事項】
※歯科インプラント治療では外科手術を行います。妊娠中の方、糖尿病などの全身疾患のある方、顎骨の量が極端に少ない方、ヘビースモーカーの方などは、歯科インプラント治療を受けられない場合があります。
※歯科インプラント治療には健康保険の適用がありません。全額自己負担となるため、治療費は高額になります。
※ケースによって異なりますが、歯科インプラント治療には平均3~6ヵ月程度の治療期間がかかります。

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