倒産は他人事ではない
会社が倒産したら給与はどうなる?
また、いわゆる中小企業金融円滑化法に基づき返済猶予を受けている企業は、現在40万社以上とも言われています。しかし、同法が2013年3月末日を以て終了するため、これを機に破綻する中小企業が一気に増加するのではないかとの観測もされています。
今や企業の倒産は、会社経営者や一部の資産家にしか関係のない問題というわけではありません。今回は、勤務先が倒産した際に、従業員の給料、賞与(ボーナス)や退職金がどうなるのかというテーマを取り上げてみます。
給料は待っているだけでは支払われない
「給料、賞与は支給日に支払われて当然」というのがごく普通の感覚です。しかし、法律的には従業員の給料、賞与はもとより退職金も、勤務先との雇用関係に基づいて発生する債権(労働債権)の一種であることに変わりはありません。ですから、(元)勤務先から給料等の支払がなされないときは、債権回収のために何らかの行動を起こさなければなりません。
もっとも、労働債権は、労働者の生活保障という社会政策的な配慮から、優先して支払われる「先取特権」(民法306条2号、308条)とされており、仕入先などの一般の債権と大きく異なります。そのため、破産をはじめとする倒産手続においても、労働債権は一般の債権よりも優先的に支払いを受けられるようになっています。
次のページでは、破産における労働債権の取り扱いを具体的に説明します。