3.11の震災後の原発、エネルギー問題がクローズアップされ、日本人みなが震災後の停電・節電を身近に体験した2011年は、非常時や災害時の備えとしてのスマートハウスが主流でした。2012年はそうした緊急性もやや落ち着き、補助金などの政策面準備も整い始めたこともあり、スマートハウスの意義が社会に広がってきた年とみていいのではないかと思います。

非常時から平常時のスマートハウスへ

特に、2011年のスマートハウスが「緊急時に自分たち家族がエネルギー自給できる家」と、やや狭義だったのに比べ、2012年はスマートハウスの集合体であるスマートシティが各地で誕生し、「自分たち家族だけでなくコミュニティ内でエネルギーを融通しあって助け合う」「日本のピークシフト電力問題のために、街全体でエネルギー需給する」といった広義の社会的メッセージを見せてきていることが注目です。
経産省

ピークシフトとピークカットの違い(経産省HPより)

まず今年度(平成24年度)に入って、経産省による太陽光発電や蓄電池、HEMSへの補助金が拡充され、蓄電池は購入額の1/3、HEMSは定額10万円が補助されるようになりました。7月からは再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)の固定価格買取制度がスタート。再生可能エネルギーによって発電された電気を電力会社が買い取ることで、社会全体でエネルギー自給率を高めるとともに、発電者にとってはコスト回収の見込みが立ちやすくなります。

主婦の8割は「スマートハウス、よく分からない」

このようにスマートハウスに追い風が吹き、住宅各社も日進月歩で技術開発に取り組んでいますが、一方でスマートハウスという言葉の明確な定義がなく、しかも日々進化しているため、消費者や主婦にとっては今一つ分かりにくくなっている面もあるようです。

2012年9月、震災後1年半を機に(株)メディア・ハウジング研究所では「スマートハウスに関する意識調査」(対象は全国の既婚女性360人)を実施しました。それによると、「スマートハウスがどういう家か知らない」と答えた主婦は8割近くに。しかし、その一方で、やはり社会時勢的に話題になっているためか、「来年、家を買うときにスマートハウスを検討するか」という質問には約半数が「検討したい」と答えています。ニーズや関心は女性や主婦にも確かにあるのだということが分かりました。
調査

主婦360人に行ったアンケート調査によると、スマートハウスについて「聞いたことがない」「聞いたことはあるが、よく分からない」をあわせると約8割にのぼる((株)メディア・ハウジング研究所実施、2012年9月)

なぜ消費者に分かりにくいのだろう?と考えてみたところ、一つには、スマートハウスの技術や内容が日進月歩で変化していくこと、もう一つは、スマートハウスという概念が1990年代から言われていて、時代を反映しながら内容が変容してきているために分かりにくくなっている面もあるのではないかと思います。

そこで、なぜ今こういうスマートハウスの流れになっているのか、現在のスマートハウスの意義を理解するためにも歴史的な解釈を次ページでしてみたいと思います。