圧巻はコーナリング中の姿勢の良さ
最高出力218hp/最大トルク280Nm(オーバーブースト時は300Nm)を発生する1.6リッターツインスクロールターボを搭載。6MTとステップトロニック付き6ATが組み合わせられる。0-100km/h加速は7秒となる
フラット&ソリッドに高密な制御をうけながらも、サスペンションそのものは弾力も豊かによく動いてくれて、ひとつひとつの動きはシャープだけれども、そのあとのプロセスが極めて奥ゆかしい。くわえて、実用域ではとにかくキレイに、かつ精密にまわってくれるエンジン(試乗車はMTのみだった)のフィール……。
特に、コーナリング中の姿勢の良さは圧巻だ! ドライバーはもちろんのこと、助手席からでもその姿勢の気持ち良さを体感できるほど。クイックだが正確なノーズの向き、心地よいロール感覚、しっかりと追随するオシリ……。ハンドルを切りはじめたときから真っすぐ向いてスロットルオンするまで、すべてが気持ちいい。
ドイツのカントリーロードを、制限速度前後(といっても100km/hは出ている)で走っていると、そのあまりの心地よさに、このクルマがミニ最強のエンジンを載せた仕様で、自分が今、そのパフォーマンスを(ドイツまできて)確かめている最中であることを、忘れてしまいそうになったくらいだ。
もちろん、攻め込んだときのパフォーマンスも素晴らしい。高回転域におけるパワー感が少し薄めで、物足りなさを覚えたものの、そのほかはまるで申し分ない。スポーツボタンを押して、エンジンのピックアップとパワーステアリングのフィールを硬派にセット(AT仕様の場合は変速も)、荒々しいエグゾーストノートを響かせながら走ってみれば、自然な動きに鋭さと正確さが加わって、どこまでも踏んでいけそうな気分になる。
以前から、“でっかいミニなんて要らない! ”、と言って憚らなかった筆者だけれど、クロスオーバーJCWのライドフィールには、おおいに感動した。と同時に、最新欧州コンパクトカー勢の乗り心地が、また新たなフレーズに入ったと確信もしたのだった。
国産車は、しばらく追いつけそうにない。否、追いつくことはもうムリか……。