60歳からの5年をどう生きるか
2013年度から国の厚生年金が完全に61歳以降支給開始になります。経過措置として支給されていた60歳代前半の年金は段階的にストップし、最終的に65歳から年金を受けることになります。これにあわせて高年齢雇用安定法の改正が成立し、60歳代前半も働ける体制作りが進みました。実は「60~65歳」の5年間は重要な意味を持っています。その後の人生を大きく左右するといってもいいでしょう。セカンドライフは20年はほぼ確実、25年、あるいは30年になることもある長期間ですから、そのお金のやりくりは簡単にはいきません。このとき「60~65歳」の5年間は、その後の20年の人生を豊かにするか決定づける要素なのです。特にこの5年間に働けるかどうかが重要な鍵となります。働けるかどうかはそれこそ「2000万円以上の価値」があるといってもいいでしょう。今日は「年を取って働けることの価値」について少し考えてみます。
65歳までに退職金を取り崩すと絶望的20年が待っている
一番まずいパターンは、60歳で会社は辞めたものの、65歳まで仕事をするでもなく、年金をもらえるわけでもなく、ただ5年間を過ごした場合です。この場合、定年退職時にもらった退職金を取り崩すほかありませんので、5年間を資産をただ取り崩す一方の時間として過ごすことになります。仮に毎月25万円ずつ取り崩したとしても、年間300万円、5年で1500万円です。所得がないので税金や社会保険料を引かれずにすむとはいえ、60歳の家庭がいきなり25万円で暮らすのもかなり大変だと思います(最終的にはその程度の生活水準に慣れる必要があります)。
倹約しながら過ごしたつもりであっても、1500万円取り崩したとすれば、60歳時点で持っていた財産のかなりを放出してしまうはずです。そこからようやく公的年金を受け始めたとしても、まだまだ20年の老後があります。女性の場合、25年以上時間がありますが、資産の多くを使い切ったあとの20~25年は大変です。手元の財産のほとんどは5年間で使い切ってしまったため、国の年金だけでやりくりしていくことになりますし、余計な出費をするたび預金通帳がゼロになる恐怖におびえて老後を過ごすことになります。
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