大人への階段を上る成長物語
■あらすじ1950年代末、アメリカ、オレゴン州の小さな町キャッスルロック。
12歳のゴーディ、クリス、テディ、バーンの4人は木の上の秘密基地に集まりいつも一緒に遊ぶ仲だった。皆家庭に複雑な事情があり性格も違っていたが、ウマが合い連帯感で堅く結ばれていた。
ある日バーンは兄たちの会話を盗み聞きし、行方不明になっていた同年代の少年が列車事故に遭いまだその死体が見つかっていないことを知る。すぐに仲間3人にそのことを知らせるバーン。
4人はその死体を見つければ英雄になれると考え、線路伝いに歩いて森の奥へと進み死体探しの旅に出かけるのだった。
この小説は思春期の少年達が一夏の冒険を通じて精神的に大人への階段を上る成長の物語ではありますが、ここはモダンホラーの旗手であり現代アメリカで最も力のある小説家の一人でもあるキングのこと、少年達の心の闇に光を当て巧みな心理描写を織り交ぜることで物語に深みを持たせ少年期の終わりを描く作品としては世界的に普遍的な名作として読み継がれています。
キングの作品は総じて設定やテーマは明瞭で台詞は口語体、小難しい部分がないので大変読みやすいです。
他方キングをキングたらしめているのは対象の描写力、時に過剰すぎるまたは暴力的とさえ言える筆力で独特の迫力を生み出します。即ち非常に即物的な手法で心理すら描いてしまうような面白さがあります。
まさに読み始めたら止まらないタイプの小説を描く作家といえるのではないでしょうか。
ただホラー作家というレッテルはやはり大きく、映画化された作品等を通じて例え彼の作品に興味を持ってもホラーに対する先入観で食わず嫌いの方も多いです。そこで今回彼の作品としては最も有名で読みやすく感動できる作品ということで他作品の取っ掛かりとしておすすめすることにしました。
本作は故リバーフェニックスがクリスを演じていた映画として、またベンEキングが歌う有名な同名主題歌も大変知られていてそちらから入っても良いと思います。
個人的にはこの小説は原文で初めて読破した思い出の1冊です。写真は手持ちの新潮文庫とペイパーバックです。
■「スタンド バイ ミー」(原題「The Body」)
価格:788円
著者名:Stephen King(スティーヴン キング)
版元:新潮社
ジャンル:ある種の冒険小説
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