「カリソン」とは、南仏で伝統的に作られるコンフィズリー(砂糖菓子)で、結婚式などで手渡すもの。元々はひし形をしており、オレンジなどの味のついたマジパンの上に白い砂糖がけのグラスロワイヤルが塗られます。
コンティチーニ氏は、これを、フレッシュなフィンガータイプに進化させました。まだパリの店にもない日本の先行販売の商品として登場。地方菓子を発掘し、再構築した“ネクスト・マカロン”的な挑戦でもあるそうです。
「カリソン・フレ」の味は、ピスタチオ、カフェ、シトロン、オランジュ、パンプルムース、バニーユ、マロン、カシス、キャラメルの9種類。フルーツ味にも自家製ピューレを使うなど、手作りにこだわり、「ラ・パティスリー・デ・レーヴ」のカラーをコンセプトにした、ポップで楽しい菓子に仕上げています。
一口かじると、少しサクッとする様々な味わいの上掛けが、舌の上でじんわりととけていき、アーモンドのマジパンの風味とともに広がっていきます。“フレ”(=生)という名前がつけられたとおり、伝統的なタイプよりフレッシュさが感じられる新しいカリソンです。
「クイニーアマン」は、日本でもブームを呼んだお菓子で、ブルターニュ地方の伝統菓子です。この地方独自の言語、ブルトン語で「クイニー」=お菓子、「アマン」=バターを指します。そのとおり、当地の特徴的な海塩入りバターをたっぷり使い、砂糖をふりかけながら生地を何層にも折り込み、カリッとキャラメル化するまで焼き上げるお菓子です。
伝統的なスタイルは、型の中に折り込んで丸い形にしたものですが、この「クイニーアマン」は、長いスティックのような形状にした個性派。精製していないミネラル豊富な砂糖と、発酵の強いバターをたっぷり使い、キャラメリゼした飴をたっぷりかけて焼き上げています。
びっくりするほどの長さも遊び心の一つ。バゲットのように持ち帰ってほしいという意味も込められています。
同じくブルターニュ地方の伝統菓子に、「ガレットブルトン」というザクザクした食感が特徴の厚焼きサブレがあります。一方こちらの「サブレブルトン」は、コンティチーニ氏がイギリスの田舎町を訪れた時に出会った素朴な味のサブレに感激し、作り手の地元のおばあさまにレシピを譲り受け、再構築したものだそう。砂糖も精製していない旨味のある物を使うなど材料も一から見直し、原点に戻ることで生まれた、新しい味です。ザクザクした食感の生地を噛みしめると、じんわりと、粗糖ならではの滋味に富んだ旨味や香りが広がります。
「ショーソン」=スリッパの意味で、中にりんごを詰めて焼いた、素朴な焼き菓子。フランスのパティスリーはもちろん、パン屋さんでも見られるお馴染の存在です。
コンティチーニ氏はこの「ショーソンポム」にも独自の工夫を加え、中身は生りんごを強火でことこと煮込んだ「コンポートポム」と、りんごをバターでソテーした「ポムキュイジネ」。二つの異なる食感のりんごを楽しむことができます。パイ生地はアンヴェルセ。通常、こういった素朴な菓子に、手間もコストもかかるアンヴェルセの生地を使うことはまずありませんが、ほろほろと崩れる繊細なパイ生地にこだわりました。表面にカソナードを振って焼き上げ、ガリガリとした食感のコントラストと、濃厚なりんごのフィリングとの組み合わせの妙が楽しめます。
ヴィエノワズリーの中でも目を引く、大きな「ブリオッシュ・フィユテ」(大:2100円 小:357円)も、元々、パンの中でも最もリッチな配合のブリオッシュにさらにバターを折り込み、超リッチなものとなっています。自然の膨らみのままに焼き上がった形も、食欲をそそります。
このように、素朴な焼き菓子やコンフィズリーも、「ラ・パティスリー・デ・レーヴ」ならではのオリジナリティに富んだものに進化を遂げているのです。
今後、京都の和食店でミシュランの星をもつ有名店「祇園さゝ木」の佐々木浩氏とのコラボレーションなども計画されているそうです。パリの店とも異なる、日本ならではの新たな展開に期待したいですね!
■ラ・パティスリー・デ・レーヴ 京都高台寺店 LA PÂTISSERIE DES REVÊS
住所:京都府京都市東山区高台寺北門前通下河原東入ル鷲尾町518
電話:075-533-7041
営業時間:11:00~18:00(※2012年9月中は10時より営業)
定休日:不定休
URL:http://www.lapatisseriedesreves.com/
地図:Yahoo!地図情報
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