ポルシェ/ポルシェ

乗れば分かる、ポルシェNo.1スポーツはボクスター(2ページ目)

3世代目へと進化したポルシェボクスター。新しい991型911と同じトレンド、“より長く/よりワイドに/より低く/より軽く”でモデルチェンジを果たしました。今やポルシェのNo.1スポーツカー、軽く流していても気持ちがすーっと晴れてゆくようです。

西川 淳

執筆者:西川 淳

車ガイド

軽く流しても気分爽快

ポルシェボクスターS

Sには最高出力315ps/最大トルク360Nmを発生する3.4リッター水平対向エンジンを搭載。スタンダードモデルは265PS/280Nmの2.7リッター水平対向を備える


ボクスターSをオープンにして走り出す。ツキのいいパワートレインとひき締まったシャシー&ボディのおかげで、サイズアップを感じさせない。街中の路地を抜けている際の、(991より)フラットだが嫌味のない乗り心地にも驚く。最新の911ほどではないにせよ、デイリーマシンとして十分に気持ちよく使えそう。

すぐさま空いた首都高に乗って、ロケ現場に向かう。高速安定性はもちろん上がっているのだけれど、風の巻き込みが少なからずあって、女性を乗せてこないで良かったと思った。個人的には、オープンカーに乗って風に当たるのが嫌だと言うのは、海水浴に行って日焼けするのが嫌だと言っているようなものだと思っているが。

高速を降り、ワインディングを駆けてみる。ゾクゾクする楽しみこそないものの、思い通りに操れているぞ、な感覚は豊か。すべての手応え、足応えが絶妙で、軽く流していても気持ちがすーっと晴れてゆく。

一方で、ちょっと攻め込んでみようと思えば、どこまでもペースアップを許してくれそうで、怖い。最近のよくできたスポーツカーは、すべからく自制が必要だ。

心なしか、景色と道の区分けもハッキリとみえてくる。空が青く、雲はときどきふわふわで、気分も爽快だった。

ボディ(骨格)やシャシー&サスペンション、かかる電子制御システムを、“高性能”方面にがんがん引き上げていくことが、ほとんど同時に乗り心地全般といった快適性にも利く。最近のヨーロッパ車はたとえコンパクトカーといえども、その領域に達しつつあるようだ。そして、スポーツカーの名門ブランドであるポルシェの新型モデル/ボクスターにあってはもちろん、それが顕著に現れていた。
ポルシェボクスターS

エネルギー回生システムやアイドリングストップ機構(スタンダードモデルのみ)を採用。スタンダードモデルのPDK仕様には安定した高速走行時にエンジンをアイドリング状態として燃費を向上させるコースティング機能を備えた


現有のエンジンパフォーマンス(もしくは目指す高性能)とのバランスを考え、軽量ローハイト骨格にワイドトレッド&ロングホイールベースシャシーを組み合わせるのが理想のディメンジョン実現にむけた最新トレンドで、先にデビューした991型911と同様、新型ボクスターにおいても、それは明白である。

要するに、少しばかり長くなった全長の伸び率に対して、幅方向の伸びと高さ方向の縮みの、それぞれ増減割合が、目立って大きい。しかも、軽量化が進んでいるから、炭酸ガス排出量を気にしてほぼパフォーマンスアップ無しとした現状維持のパワートレインであっても、結果的に車両としての高性能化が進む、という寸法だ。

このことをちゃんと理解しておかなければ、“でかくなったんだって!?”と、頭でっかちにポルシェのモデルチェンジを正しく語ることができないだろう。

もちろん、ポルシェは今も昔も一流のスポーツカーであろうとする意識は高いわけだから、(そんな理屈っぽく説明されなくても)乗れば誰でも分かる、のだけれども……。
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