より“長く/ワイドに/低く/軽く”
日本では今年6月に発表されたオープン2シーターの3世代目。2.7リッターのスタンダードモデルのボクスター(6MT 584万円、7PDK 631万円)と、3.4リッターのボクスターS(6MT 727万円、7PDK 774万円)をラインナップする
ボクスターが第3世代981型へと進化した。歴代ボクスターが、同世代の911(986は996、987は997)と同時開発され、少なからぬパーツを共有していたが、今回もまた、最新の991型911と同じトレンドでモデルチェンジをはたしたと言っていい。
それゆえ、より長く/よりワイドに/より低く/より軽く、といった物理的スペックの傾向も911に等しい。パワートレインはダウンサイジング、もしくはキープスペックで、スタンダードがマイナス200ccのプラス10ps、Sモデルが3.4リッターままでプラス5psとなっている。車重が軽くなって、ポルシェ理想のミドシップディメンジョンが得られた結果、スポーツカーとしてのパフォーマンスにより磨きがかかった、というのがポルシェの言い分である。
いずれのモデルにも、6MTと7速ダブルクラッチシステムPDKが用意されている。
ボディサイズは全長4374mm×全幅1801mm×全高1281mm、ホイールベースは2475mm。旧型と比べ全長が32mm、ホイールベースが60mm長くなっている。電動ソフトトップの開閉時間は9秒とされる
実物をみれば、たとえ旧型が横にいなくても、“大きくなったなあ”と思ってしまうことだろう。その理由は、ボディスタイルがよりフラットに、幅広く見えるからだ。フロントウィンドウやトップの形状も大きく変わっている。996&997世代から991世代へのモデルチェンジ内容がそうとうに大がかりだったぶん、ボクスターの新型はまるで新しい、というわけだ。
エクステリアデザインは、ほとんどミニ・カレラGT/918スパイダー、である。ミドシップの小型ロードスターとしては、早くも傑作のひとつに数えてよさそうだ。特に、リアビュー。ひじょうに存在感のあるスタイリングで、人の気を惹く。
インテリアもまた、カレラGT→カイエン/パナメーラ→991路線を引き継ぐもの。特に991との共通性は高く、見ためにも豪華。もはやライトウェイトスポーツカーのそれではない。ラグジュアリィスポーツ、といった方がよさそうだ。
軽量化のうち、1/3ほどはソフトトップシステムのおかげである。そして、その幌はといえば、ついに全自動で開閉が可能となった。要する時間も、大幅に短縮されている。
カレラGTのデザインコンセプトが取り入れられたインテリア。伝統の3連丸形メーターには4.6インチマルチファンクションディスプレイも備わった。ラゲッジスペースはボンネット内(150リッター)とリア(130リッター)の2カ所に用意される